【WBC】高代延博コーチに聞く。日本代表のキーマンは誰か? (2ページ目)

  • 木村公一●構成 text by Kimura Koichi
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

―― 4年ぶりに戦ったキューバの印象は?

高代 打線が小粒になりましたね。セスペデスがアスレチックスに入団するなど、国外流出の影響を感じます。グリエルもピークを過ぎた感じがしますが、それでもまだ主軸を担っている。そういうところからも、チーム事情は苦しいのかなと思ってしまいますね。日本の投手がキッチリと攻め切れれば、決して怖い打線ではありません。ただし、いわゆる「交通事故」的な不用意な失投による一発の怖さを秘めた打線であることに変わりはありません。油断は禁物です。

―― その他、キューバに感じたことはありましたか。

高代 守備力の良さですね。特に、ショートを守るアルエバルエナは22歳と若く、守備範囲、肩、スローイング、どれをとっても素晴らしい選手です。ディフェンス力の高いチームからはそう点は取れませんからね。

―― いかに攻略できるかがポイントということでしょうか。

高代 そうですね。速球派はガルシアという投手ぐらいで、ほとんどは140キロ台前半でボールを動かす、いわゆる「汚い球」が持ち味の投手が多い。速くないから簡単に打てそうに思うのですが、日本人の選手は動く球に慣れていませんから、意外に手こずってしまいます。攻略するには、しっかり見て打つというより、反射的に対応していかないといけない。でも、日本の打者は十分に対応できる顔ぶれが揃っていますので、私は心配していません。

―― 一昨年、韓国プロ野球のハンファでコーチをされていました。つまり、韓国の選手のことも把握されている。

高代 2年前ですので若干の変化はあるでしょうが、基本はわかっているつもりです。まず日本との違いは、概して身体がひとまわり大きい。投げる、打つ、走ると行った基本動作、能力は日本人以上の選手が多い。打撃ではストレートは滅法強い。それと初球からでもストライクならどんどん打ってくる。その攻撃的な要素は、日本にない部分ですね。それが国際大会にもマッチしている。なにより国際大会では、太極旗(国旗)を背負ったときの集中力、モチベーションが日本とは比較にならない。今回はエース格の左腕3人と、野手ではメジャーの秋信守が外れて戦力ダウンと言われているようですが、本番になったら遜色ない戦いをしてくると思います。

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