2012.12.01

【プロ野球】門田博光からの提言
「なぜ、もっとホームランを狙わない」

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

40歳の時に44本塁打を放ち本塁打王のタイトルを獲得するなど、歴代3位となる567本塁打を放った門田氏 バレンティン31本、中村剛也27本。今季、両リーグのホームラン王が放った本塁打の数だ。言うまでもなく、昨年の統一球導入以降、本塁打数は激減した。2010年は両リーグ通算で1605本塁打だったが、昨年は939本、今年は881本と落ち込んでいる。球場も大きくなり、その上、ボールが飛ばなくなった。この時代に打席に立つ不幸を嘆く選手がいたとしても、その気持ちはわからないでもない。しかし、彼らが選ばれしプロフェッショナルである以上、そこで立ち止まってはいられない。

「プロは常に自分の中で改革をして挑戦せんとアカンのや」

 そう言い放ったのは、日本プロ野球歴代3位の567本塁打を放ち、40歳にして本塁打王(44本塁打)にも輝いた希代のホームランアーチスト・門田博光氏だ。「時代が違う」「球場の大きさが違う」「球種の数が違う」......。そんな声があることは、もちろん承知している。だからこそ、プロとしての心構えが必要だと門田氏は言うのだ。

「ボールが飛ばなくなったのは確かでしょう。でも、我々の若い頃(昭和40年代)も飛ばないボールだった。問題は、プロとしてそこからどう考えるかなんですよ。結果を出すための準備。これがすべてと言ってもいい。『来シーズンから統一球が導入されます』となった時に、それまでと同じバット、同じスイングではダメなのは明らか。シーズンが始まるまでにどれだけの準備をやってきたのかなと......」

 もちろん、対策を練って、統一球に挑んだ選手は多くいるはずだ。ただ、門田の言う「どれだけの準備をやってきたのか」となると、どうなのだろうか。

「たとえば、今まで34インチの長さだったバットを半インチ長くして遠心力を大きくしたらどうなるのか、とかね。オチ(落合博満)はロッテ時代に52本塁打を打った時、確か35インチのバットを使っていた。オレでも34インチ半が精一杯やったのに......。あの長さのバットを扱うのはすごい技術が必要なんです。あの頃のオチは、『王(貞治)さんの55本塁打を抜きたい』という思いがあったんやと思う。そのためにはこのバットを使いこなさないといけないと思ったに違いない」