【プロ野球】勝利の方程式崩壊、故障者続出......。それでも中日が強いワケ

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

落合監督に代わり、今シーズンから指揮を執る高木守道監督落合監督に代わり、今シーズンから指揮を執る高木守道監督 今シーズン、ドラゴンズは様々な誤算が続いている。開幕投手の吉見一起は腰の不調により登録を抹消され、昨シーズンのMVP浅尾拓也は開幕から打ち込まれる場面が目立ち、調整のために二軍落ちすると、右肩の腱板損傷が見つかり、今シーズンの復帰が絶望視されている。投手陣の大黒柱ふたりが不在の上に、クローザーの岩瀬仁紀も調子も上がらない。

 打線にしても大島洋平、井端弘和の頑張りはあるが、森野将彦の不調など苦しい材料が多い。その上、三塁のベースコーチがたびたび交代するなど、首脳陣の不協和音も聞こえてくる。普通なら、とっくにチームが崩壊していても不思議ではない。

 それなのに、6月5日終了時点でジャイアンツに0.5ゲーム差をつけて首位を守っている。交流戦でもセ・リーグのチームで勝ち越しているのはジャイアンツとドラゴンズだけだ。

「チーム状態が苦しいことは間違いありません。ただ、残ったメンバーが抜けた穴をしっかり埋めています」

 そう語るのは、評論家の牛島和彦氏だ。

「例えば、浅尾の穴はルーキーの田島(慎二)が埋め、吉見の穴は昨年ほとんど活躍できなかった山内(壮馬)、中田(賢一)がうまくカバーしている。山内はシュートとスライダーのコーナーへの出し入れが格段にうまくなりました。狙ったところにしっかりと投げることができている。中田はコントロールが安定してことで、長いイニングを投げられるようになり、リズムも生まれてきた。それによって打線の援護も多くなった気がします」

 一方、打線は大きな戦力の上積みはないように見えるのだが......。

「それでも山﨑武司を獲得したのは間違いなくプラスになっています。昨年までは、好不調の波が大きいブランコを状態に関わらず使わざるを得なかった。しかし今年は山﨑を代わりに入れることができる。タイプの違うコマが増えたことで、作戦の幅は確実に増えました」

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