【プロ野球】投高打低に終止符? 導入2年目『統一球』に異変あり!?
横浜のラミレスは統一球対策として重心を低くして、強く振ることを意識しているという セ・リーグ=863→485。パ・リーグ=742→454。この数字を見て、ピンと来る人も多いだろう。昨年から導入された"統一球"、いわゆる"飛ばないボール"によって減少した本塁打数だ。なかでも巨人は、一昨年の226本塁打から半数以下の108本塁打まで減らした。これまで本塁打に頼ってきたチームにとっては、大幅な得点力の低下につながり、チームの順位にも大きく影響を与えたのが"統一球"だった。
ところが今シーズン、キャンプを終えてオープン戦などの対外試合がはじまり、選手やスコアラーからこんな声が聞こえるようになった。
「なんか今年、飛ぶようになったなぁ」
この背景には、いろいろな要素が考えられる。まず、キャンプから"統一球"対策を実施してきたチームに効果が出てきたということだ。
ヤクルトは砂鉄を入れたゴム製の特種ボールをメーカーに発注し、打撃練習に取り入れた。従来のボールは約150グラムだが、このボールの重さは350グラムと450グラムの2種類。重いボールを打つことで、ボールに負けないスイングを身につけさせようとしたわけだ。さらに「それだけではない」と、伊勢孝夫総合コーチは言う。
「飛距離を伸ばすこともあるけど、昨年は力負けしてファウルになっていた打球をフェアゾーンに打つことも主眼に置いているんです」
昨年のチーム本塁打数が一昨年の95本から53本に減少した楽天は、大久保博元打撃コーチの提言で、ほとんどの選手がバットの重さや長さを変えた。「選手によって差はありますが、10グラムから30グラムほど重くしています」(楽天関係者)。こちらも単純に重くしたバットで力負けしないとようにという発想だ。
また、巨人はキャンプでのロングティーを今年から廃止した。「どうしても遠くに飛ばそうとする意識がフォームを崩す原因になる、という原辰徳監督の考えからです」(テレビ局関係者)。さらに、細かな工夫を凝らしている選手もいる。例えば、新加入した村田修一はキャンプではずっと手袋をせずに打撃練習をしていた。
「手袋をしていると、指先でバットをしっかり握って"押し出す感覚"が持てないと言うんです。それで素手でスイングをするようになったと聞きました」(同テレビ局関係者)
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