【プロ野球】常設化された侍ジャパンの進むべき道は? (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 確かに、NPBの財源確保は重要な課題である。侍ジャパンを利用して収益を挙げようという狙いも間違っていないと考える。球界を挙げての震災復興支援は歩みを止めるべきではないし、侍ジャパンがその活動に相応しいチームであることにも異論はない。

 ただし、このチームが侍ジャパンを名乗る以上、常に、“ひとつの目標”を持って戦うべきだと思う。

 それは、『世界一を目指す』という、ごく当たり前の目標だ。

 その一環として、今回の試合が復興支援も兼ねているというならわかるのだが、WBCに出ると正式に決まってもいない現状では、この侍ジャパンが世界一を目標に掲げているチームにつながっているとは、誰も言えない。今回の秋山幸二代表監督はあくまでもこのゲーム限定で、WBCの監督は新たに選考することになっており、今後の日程に関してもまだまったくの白紙なのだという。この秋に強化試合を行なうというプランは耳にしたことがあるが、それも正式に決まっているわけではない。

 今回のゲームに対する満足度は高かった。それは、選手たちのおかげである。ただ、土台となるべきゲームの意味合いが曖昧だったことにモヤモヤが残る。常設化された侍ジャパンのブランドを安易に先走りさせるべきではない。第3回のWBCで3連覇を成し遂げるという大きな目標があって、そのために侍ジャパンが招集、常設され、強化の一環として行なった国際試合でNPBが収益をあげて、それを東日本大震災の復興支援とする──本来、こうであるべき順番が違っているから、スッキリしないのだ。一刻も早く同じ目標を共有し、来春のWBCに向けて日本球界がひとつにまとまって欲しいと切に願う次第である。

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