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【プロ野球】15年ぶりAクラスへ、カープ投手王国復活の現実味 (2ページ目)

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

「一昨年はやっていたので、少しゲンかつぎの意味もある」

 本人は冗談めかして話していたが、2日続けてブルペンに入ることができるのは体調のよさの表れだろう。

 特に2日目の12日は、101球を投げ込む意欲的な投球を見せた。

「(2次キャンプの)日南は寒いかもしれないので、沖縄でなるべく肩を作っておこうと。去年はスタートで出遅れた。今年はしっかり開幕に合わせていきたい」

 まだすべてが全力投球という内容ではなかったが、変化球もほぼすべての球種を試すなど仕上がりは例年以上に早そうだ。

 このオフ、前田はプロ入り後はじめて本格的な筋力トレーニングに取り組み、4キロ体重を増やした。ボールの力を増すと同時に、1シーズンを乗り切る体の強さも身につけようという狙いだろう。

 昨シーズン増量して見違えるようになったダルビッシュ有、オフからキャンプにかけて大幅な増量に取り組んでいるジャイアンツの澤村拓一など、最近の若い投手の間では筋トレによる増量がひとつのトレンドになっている。少し前は、筋肉がつきすぎると肩の回り方が悪くなるなどといわれ、否定的な見方も多かったが、今はトレーニングのメニューも研究され、悪影響を心配する声は聞かなくなった。

 前田にしても、体重が増えたといって見た目の印象はさほど変わりはない。体幹がしっかりしてきた証拠だろう。体重増加の目的は、「体を大きくすれば、スピードも上がるはず」と原点であるストレートにさらに磨きをかけるためだ。

 とにかく前田の完全復活こそが、投手王国復活、カープ再建のカギであることは間違いない。あるセ・リーグ球団のスコアラーは言う。

「前田健太という大きな軸があるのが本当に大きい。前田の脇をバリントンや新加入・ミコライオの外国人勢と福井優也、野村祐輔のドラ1コンビが固めれば、リーグでも屈指の先発陣が形成されます。それに今村猛、サファテのリリーフ陣も安定感を増している。年齢的にも若い投手が多いですし、まだまだ伸びる。故障者さえ出なければ、十分に優勝を狙える投手陣になるはず」

 前田を軸とした自慢の投手陣がケガなく1年を過ごせば、15年ぶりのAクラス、初のCS進出も現実味を帯びてくる。

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