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【MLB】大谷翔平の役割は? ドジャースはブルワーズの「90フィートを奪う野球」とどう戦うのか ナ・リーグ優勝決定シリーズの焦点 (3ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Hideki Okuda

【大谷翔平はどのようにチームに貢献するのか】

 短期決戦では投手力も大きな意味を持つ。ドジャースは今季、先発投手の防御率でナ・リーグトップ。一方、ブルワーズは救援投手の防御率でリーグトップだった。さらにジェイコブ・ミジオロウスキー、ローガン・ヘンダーソンという若い先発投手も成長し、昨年とは違う陣容で挑む。

 昨年のナ・リーグ優勝決定シリーズではドジャースが4連勝したが、4試合すべてが一方的な展開だったわけではない。今季の直接対決はブルワーズが4勝3敗と勝ち越したものの、総得点ではドジャースが27対25と上回った。両チームはほぼ互角に渡り合っていた。

 ブルワーズが持ち味を発揮するには、まず出塁しなければならない。ドジャースの先発陣が三振を奪い、走者を出さなければ、積極的な走塁も生かせない。逆にブルワーズが粘り強い打席で球数を投げさせ、早い段階で救援陣を引き出せれば、展開は変わってくる。特に1点を争う接戦では、走塁や守備の一つの判断が勝敗を左右する。

 ウッドワードは「ブルワーズは積極的に走りすぎてアウトになることもあります。しかし、私たちは一つひとつの守備を確実にこなさなければなりません」と警戒していた。

 こうした走塁の攻防で、ドジャース側の鍵を握る選手のひとりが大谷だ。地区シリーズでは4試合で13打数2安打、打率.154と苦しんだ。以前、ウッドワードは大谷について、膝の影響などでトップスピードが低下していることを認めていた。また、大谷自身が感じている走力と実際のスピードとの間にズレがあり、それに応じて走塁判断を修正する必要があるとも語っていた。それでも大谷は、地区シリーズの重要な場面で積極的に走り、同点の1点をもぎ取った。走塁得点価値で27位のドジャースだが、大谷は足で試合を動かせる。打撃の調子が上がらなくても、四球を選び、走塁で相手にプレッシャーをかけられる。

 もちろん、ドジャースが期待するのは、大谷本来の破壊力のある打撃が戻ることだ。しかし、打撃の調子にかかわらず、毎日試合に出場する大谷には、走塁でも勝利に貢献する機会がある。

 ブルワーズが打線全体で実践する「90フィートを奪う野球」。ドジャースが誇る長打力との対決になるが、勝敗を分けるのは本塁打だけではないかもしれない。大谷が地区シリーズで見せたような、次の塁を奪う一つのプレーがシリーズの行方を左右する可能性もある。

著者プロフィール

  • 奥田秀樹

    奥田秀樹 (おくだ・ひでき)

    1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。

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