【MLB】ポケモン好きの怪物投手が佐々木朗希と技術談義 大谷翔平に真っ向勝負したミジオロウスキーは山本由伸の練習方法にも関心 (3ページ目)
【佐々木朗希の元を訪れた理由】
そして登板翌日、彼の関心がポケモンだけではないこともわかった。
試合前のドジャースタジアム。外野のフィールドに姿を現したミジオロウスキーは、自ら佐々木朗希と「チーム山本由伸」のスタッフのもとへ歩いていった。以前に短く言葉を交わしたことはあったが、落ち着いて話すのは初めてだった。
「ようやくきちんと会うことができました。ドジャースとは何度も対戦してきたけれど、なかなか彼と会えなかった。ようやく会えて楽しかったです」
ミジオロウスキーが佐々木に聞きたかったのは、同じように長い腕を生かす投手が、エクステンションや投球動作をどのように考えているのかだった。一方の佐々木も、ミジオロウスキーのフォームが年ごとに変化していることに気づいていた。股関節から上体を折り込むような「ヒンジ」の動きをなぜ使っているのかを尋ね、ミジオロウスキーがその意図を説明した。世界でも屈指の球速を誇るふたりが、互いの動きを観察し、考え方を聞き合う技術談議だった。
山本由伸本人とは話せなかったものの、ミジオロウスキーは山本が行なう独特のスローイング練習にも関心を示し、スタッフに狙いを尋ねていた。やり投げ式のトレーニングについても質問し、「オフシーズンに試すかもしれない」と話している。
前回打ち込まれたカブスに対し、次の登板で投球を修正し、再び100マイル超の速球で押し返す。すでに世界最速級の球を持ちながら、相手チームの投手にも自分から歩み寄り、新しい技術を学ぼうとする。その飾らない好奇心に、筆者はすっかり好感を抱いた。
剛腕投手の「旬」がいつまで続くのかは、誰にもわからない。ただ、今のミジオロウスキーがメジャーで最も見る価値のある投手のひとりであることは、数字にも、その投球にも表れている。そして、この男の「旬」を長くするのは、105マイルを生み出す長い右腕だけではない。新しいカードを引き当てる瞬間を楽しむように、未知の技術や考えに胸を躍らせる少年のような好奇心もまた、「怪物」を進化させる大きな武器なのである。
著者プロフィール
奥田秀樹 (おくだ・ひでき)
1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。
3 / 3


