サッカー日本代表の新たな門出は期待に満ちているか 8年で財産を使い果たした森保ジャパン
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連載第108回
杉山茂樹の「看過できない」
11月、日本代表がシンガポールでブラジルと対戦することが発表された。想起するのは12年前だ。2014年の10月、日本代表はほぼ同じ時期に同じ場所でブラジルと対戦した。ハビエル・アギーレ監督の就任4戦目にあたる試合だった。
結果は0-4。文字どおりの大敗である。先のワールドカップは1-2の敗戦。昨年10月に行なわれた親善試合では3-2で勝利した。それを踏まえれば、両者の差は詰まったかに見える。
とはいえ、アギーレはそのブラジル戦に必ずしもベストメンバーを送り込んだわけではなかった。「せっかくブラジルと対戦する機会に恵まれたのに、ベストメンバーを送り込まないとは何事か」と、アギーレを批判するメディアは多かった。
9月24日のウルグアイ戦を皮切りに、9~10月に4試合を行なう日本代表の森保一監督 photo by Kyodo news 海外、とりわけサッカー先進国ではアギーレ式が一般的だ。4年周期で回る代表サッカーの1年目、序盤も序盤である。代表監督がこの時期にまず着手すべきは新戦力の発掘だろう。
ロベルト・ファルカンも同様の理由で、日本のメディアとソリが合わなかった代表監督だった。1994年、ハンス・オフトの後任としてその座に就いたこのブラジル人監督は、前監督が選ばなかった新顔を多く起用した。一歩引いた視点から日本代表と向き合おうとした。その結果、広島で開催されたアジア大会を最後に、わずか9試合で解任の憂き目に遭った。
その後、代表監督に就任した加茂周氏は口癖のようにこう言っていた。「代表チームはベストメンバーで臨むもんや」と。
森保一監督も続投会見で「その時のベストメンバーで戦う」と答えていた。これまでの8年間を振り返っても森保監督の志向はアギーレ、ファルカンではなく、断然、加茂監督寄りだった。ベストメンバー至上主義と言っても過言ではないほど、目の前の勝利にこだわった。「本番まで負けていい試合はひとつもない」はその代表的な台詞である。
そこに日本サッカーの弱点を見る気がする。こなれていない。成熟していない。4年に1度の周期で回る代表サッカーとの向き合い方に慣れておらず、4年後から逆算する眼力に欠けるのだ。この気質が代表の強化に不向きであることを、特にメディアは知る必要がある。
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著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2026年北中米大会で12回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。


