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【MLB】大谷翔平の不振の正体と復活のカギを名コーチ・伊勢孝夫が見抜いた "異変"を解説 (4ページ目)

  • 木村公一●文 text by Koichi Kimura

── 現在の「打者・大谷翔平」の調子を10点満点で表すと。

伊勢 今は「6」くらいじゃないですかね。フォームを崩されている面もありますが、二刀流による疲労も影響していると見ています。今季は先発登板時に打席に立たないこともあり、デーブ・ロバーツ監督も投げるほうに専念させるなど、疲労を考慮しているように感じます。31歳という年齢も関係しているかもしれません。

── ピッチャーとしてのコンディションはどう見ていますか。

伊勢 ピッチャーとしては悪くないどころか、すばらしいです。今も161キロくらい出ていますし、ピンチになるとギアを上げる。投球に専念すれば、10勝以上は期待できるでしょう。ただ、彼の場合は打席に立ってこそ価値がある選手ですから、登板日以外もDHで出場するスタイルは変えないはずです。そのなかで、どれだけ疲労を回復できるかがポイントになります。

 今季の大谷は、相手チームとの戦い以上に、自分自身の体力やコンディションとの戦い、いわばそれを克服していくシーズンになると感じます。調子が上がってくれば、昨年と同じように"リアル二刀流"をこなす姿が見られるでしょう。

── WBCの影響や、今年の成績予測についてはいかがですか。

伊勢 調整の難しさはあったと思いますが、目に見えて大きな影響が出ているという印象はありません。今年はどちらかといえば、打者よりも投手に比重を置いているように感じます。ホームランは50本には届かないかもしれませんが、40本には到達するでしょう。彼は固め打ちができるタイプですからね。ただ現状は打球が上がらず、ゴロのヒットが多いです。これは少し差し込まれている証拠で、本人としては叩いているつもりでも、実際には詰まっているのでしょう。

 もちろん、それは本人が一番理解しているはずですし、打席を重ねるなかで調整しながら結果もついてくると思います。そう考えると、大谷のすごさは、パワーやスイングスピードだけでなく、「自己調整力」にあるのだと思います。


伊勢孝夫(いせ・たかお)/1944年12月18日、兵庫県出身。63年に近鉄に投手として入団し、66年に野手に転向した。現役時代は勝負強い打撃で「伊勢大明神」と呼ばれ、近鉄、ヤクルトで活躍。現役引退後はヤクルトで野村克也監督の下、打撃コーチを務め、92、93、95年と3度の優勝に貢献。その後、近鉄や巨人でもリーグを制覇し優勝請負人の異名をとるなど、半世紀にわたりプロ野球に人生を捧げた伝説の名コーチ。現在はプロ野球解説者として活躍する傍ら、大阪観光大学の特別アドバイザーを務めるなど、指導者としても活躍している

著者プロフィール

  • 木村公一

    木村公一 (きむらこういち)

    獨協大学卒業後、フリーのスポーツライターに。以後、新聞、雑誌に野球企画を中心に寄稿する一方、漫画原作などもてがける。韓国、台湾などのプロ野球もフォローし、WBCなどの国際大会ではスポーツ専門チャンネルでコメンテーターも務める。

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