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【MLB】ホワイトソックス・村上宗隆が開幕前の低評価を一蹴 「本塁打」で示す実力と存在価値 (2ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Hideki Okuda

【空振り率と三振率が変わったわけではないが......】

 今、この状況を最も喜んでいるのはホワイトソックスだろう。しかし、保有権はわずか2年。2024年が41勝121敗、2025年が60勝102敗と低迷したチームが、2年以内に優勝を狙うのは現実的ではない。契約当初から、もし村上が期待どおり、あるいはそれ以上の活躍を見せれば、将来を見据えてトレードし、複数の若手有望株と交換するという見方もあった。そして、この活躍を受け、『スポーティング・ニュース』誌などは、チームOPSが.636で29位に沈むボストン・レッドソックスが獲得に動くべきだと早くも報じている。7月までに、村上が別のユニフォームを着ている可能性も否定できない。

 そんななかでも、村上は淡々と自身のルーティンに集中している。連続試合本塁打の記録を伸ばしたことで、米メディアの数は一気に増え、22日の試合前には広報の手配で特別に囲み取材が行なわれた。当然、質問は本塁打に集中する。全米に衝撃を与えている現状について問われると、村上は落ち着いた口調でこう語った。

「いや、あんまり気にしてはないですね。自分のやるべきこと、自分のスイングをするっていうことだけを心がけながらやっていますし。まだ始まったばかりなので。これからいろんな経験があると思いますし、結果が出ていることはうれしいですけど、こうしてケガなく毎日試合に出られていることが、すごくうれしいです」

 それにしても、契約が抑えられた理由は、日本での空振り率と三振率の高さにあったが、実際それはメジャーでも同じだった。空振り率は40.3%でメジャー平均の25%を大きく上回り、三振率も32.1%と、同22.2%をはるかに上回っている。しかし、ひとたびバットに当たれば、その打球は圧倒的な迫力を持つ。

 筆者が現場で取材した9号は、打球速度113マイル(約182キロ)、打球角度30度で右翼スタンド中段へ飛び込み、飛距離は426フィート(約130メートル)。続く10号は、打球速度110.2マイル(約177.4キロ)、角度29度で右中間へ運ばれ、飛距離451フィート(約138メートル)と、今季ホワイトソックス最長の一発となった。いずれも大きな快音を響かせ、うっとりするような美しい放物線を描く。まさに"ホームラン・アーティスト"と呼ぶにふさわしい打球である。なお、打球速度95マイル以上の打球割合を示すハードヒット率64.2%はリーグ1位だ。

後編につづく「元サイ・ヤング賞投手、監督、打撃コーチが語る村上宗隆の強み」

著者プロフィール

  • 奥田秀樹

    奥田秀樹 (おくだ・ひでき)

    1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。

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