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【MLB】お金が少なくても勝てる。若手発掘、育成、考える野球で常勝軍団へと上り詰めた「ブルワーズ流組織論」 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

「選球眼を鍛えるには、素早いフィードバックが必要ということです。バックスクリーンにはボールの軌道も映し出されるので、その球が本当はストライクだったのか、ボールだったのかが瞬時にわかります。そこまで驚くような取り組みではないかもしれませんが、持っているテクノロジーを試合でしっかり活用していました。毎年球団には能力のある選手がたくさん集まってくるなか、大事なのは試合でパフォーマンスを出せるかどうか。そう考えた時、ものすごく大事な取り組みだと思いました」

 こうした取り組みは即効性のあるものではないが、いずれ効果を発揮するのかもしれない。

【資金力豊富な球団にどう立ち向かうか】

 そう思わされるのは、今季2人の野手が飛躍を果たしたからだ。いずれもドラフト1巡目で入団し、昨季ゴールドグラブ賞を獲得した外野手のサル・フレリックと二塁手のブライス・トゥラングだ。決してパワーのある打者とは見られていなかったが、今季、キャリア初の2ケタ本塁打を記録した。

 投手陣では2021年のサイ・ヤング賞投手、コービン・バーンズ(現・ダイヤモンドバックス)が2023年限り、2020年最多セーブ投手のジョシュ・ヘイダー(現・アストロズ)が2022年途中で退団したが、穴を埋める選手が出現している。

 フレディ・ペラルタは今季ナ・リーグ最多の17勝(6敗)をマークし、同4位の防御率2.70と安定感も発揮。同じく先発のクイン・プリースターは同7位タイの13勝(3敗)、クローザーのトレバー・メギルは同3位の30セーブを記録した。

 ポストシーズンには、ナンバー1シードで地区シリーズ進出。レギュラーシーズンで先発ローテーションを担ったブランドン・ウッドラフが右脇腹痛で間に合うかは微妙で、ミジオロウスキーは8月中旬に15日間の故障者リストから復帰して以降、不安定な投球が続いている。その一方で、右屈筋の負傷で1カ月以上離脱していたメギルがリーグ最終戦で復帰したのは好材料だ。

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