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【MLB】大谷翔平「50本塁打・140得点」は史上7人目 18年ぶりの金字塔はドジャースだから達成できた (2ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki

【この大記録はMVPトリオの産物】

 得点については、大谷の出塁の多さもある。166安打+107四球+3死球=276出塁は、今シーズン(9月21日時点)のナ・リーグで最も多い。ア・リーグではジャッジが292出塁を記録しているが、ジャッジのホームラン数は大谷と4本差で、得点も大谷より4点少ない。

 出塁以外でも、そこから得点を記録することはあり得る。たとえば、内野ゴロの封殺やエラーなどによって塁に生きた場合がそうだ。左打者の大谷は右打者のジャッジよりも一塁までの距離が短く、走るスピードも大谷が勝る。実際、併殺打は大谷の8本に対し、ジャッジは15本だ。約2倍の差がある。加えて、走者となってからも、大谷のスピードは得点の可能性を高めるのだろう。

 そして、ほとんどの試合に大谷は1番打者として出場している。そのうしろの2番はムーキー・ベッツ、3番はフレディ・フリーマンが多い。フリーマンのスタッツは昨シーズンとほぼ同水準ながら、走者がいる打席のOPSは高く、昨シーズンの.828に対して今シーズンは.981を記録している。得点圏に走者がいる打席も.908と.987なので、明らかな違いがある。

 自身がホームランを打って記録した53得点を除くと、大谷のホームインはフリーマンのバットによる30得点が最も多い。それに次ぐのはベッツとテオスカー・ヘルナンデスの15得点。あとはいずれもひと桁だ。

 大谷が塁に出てフリーマンが生還させるというパターンは、彼らふたりの間にベッツがいる点も見逃せない。今シーズンのスタッツは芳しくなく、OPSは.744だ。過去11シーズンを見ると、ベッツのOPSは.800を下回ったことがない。それでも、今シーズンのプロダクティブアウト率はドジャースに移籍した2020年以降では最も高い。プロダクティブアウトは、進塁打など生産的なアウトを指す。

 ざっくりまとめると、こう言えるのではないだろうか。大谷の塁に出る能力とスピードに、うしろを打つチームメイトのバットが合わさり、141得点も積み重ねることができた。もっと端的に表現すれば「MVPトリオの産物」と言えるかもしれない。ただ、同じ3人でも打順の並びが違えば、ひとり目の得点はここまで増えない気がする。

 なお、1900年以降のシーズン最多得点は、1921年にルースが記録した177得点だ。1950年以降のシーズンに150得点以上は、2000年に152得点のジェフ・バグウェル(ヒューストン・アストロズ)しかいない。今世紀に入ってからの最多は、2023年に149得点のロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)で、そのシーズンのバグウェルとアクーニャJr.のホームランは、それぞれ47本と41本だった。

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