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【MLB】アーロン・ジャッジを中心に突き進む名門・ヤンキース 2025年シーズン、そして村上宗隆獲得を含めた来季以降の青写真とは? (2ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke

【当面は先発投手のテコ入れが課題】

 ただ、そのように来季以降に焦点を絞る前に、ヤンキースの視線は常に当面のシーズンにも向いている。今季ここまでは好調なうえに、ア・リーグには強力なチームが少ないという現状を考えればなおさら。

『The Athletic』のパワーランキングでも1〜6位にランクされているのはすべてナ・リーグのチーム(ドジャース、サンディエゴ・パドレス、メッツ、フィラデルフィア・フィリーズ、サンフランシスコ・ジャイアンツ、アリゾナ・ダイアモンドバックス)であり、ヤンキースはア・リーグ勢としてはトップの7位。なかば押し出されるような形ながら、レベルの落ちるア・リーグで今季も上位進出のチャンスがあるのは事実だろう。特に前述どおりに打線がよく、課題の守備も向上したのであれば、今すぐにでも勝ちにいかなければならない。

 そこでポイントとなるのは先発投手陣のテコ入れに違いない。次のオフに村上などの新戦力を加える前に、名門球団が今季中にも投手補強を考慮しても不思議はない様子だ。それに関し、ニューヨーク州のチームをカバーするメディア『SNY』のジョン・ハーパー記者はこう説明している。

「ヤンキースはソトを失ったあと、コールとフリードを投手陣の左右の軸に据えて優勝を狙う構想だった。しかし、コールは今季の復帰は絶望。(昨季15勝の)ルイス・ギルも離脱を余儀なくされたため、投手中心の戦略を再現するには、今夏にサンディ・アルカンタラ(マイアミ・マーリンズ)をトレードで獲得するしかない。

 アルカンタラは2027年まで契約が残っているため、見返りのコストは大きくなる。しかしヤンキースはジャッジが衰える前に優勝を狙いたいだけに、新たな再建を目論むマーリンズとの間で利害は一致する」

 2022年にナ・リーグのサイ・ヤング賞に選ばれたアルカンタラは2023年10月にトミー・ジョン手術を受け、今季最初の4登板では防御率7.27とまだエンジン全開には至っていない。それでもハーパー記者の言葉の趣旨は理解できる。

 ここまでの4先発で防御率1.42のフリードがヤンキースの左腕エース役を果たせるとしても、先発ローテーションの2番手以降がカルロス・ロドン、マーカス・ストローマン、ウィル・ウォーレン、カルロス・カラスコといった投手たちでは厳しい。現実的に世界一を目指すためには、復調した場合のアルカンタラ、あるいはエース級の力を持つ投手を加える必要があるだろう。

 近年は"悪の帝国"の印象はだいぶ薄れてきたヤンキース。それでも金満チームであることに変わりはなく、その資本を生かしてシーズン中に効果的な補強ができるのかどうか。今季の成果は村上の行方まで含めた来オフの動きにも関連してくるだけに、余計に興味がそそられる。

 先行きを読むのは容易ではないが、2025年もヤンキースが波瀾万丈のシーズンを過ごしていくことは間違いなさそうだ。

著者プロフィール

  • 杉浦大介

    杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)

    すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう

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