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アメリカ最大の日刊紙「ロサンゼルス・タイムズ」が伝えた大谷翔平の規格外のバッティング (3ページ目)

  • text by Los Angeles Times

愛犬・デコピンの始球式に笑顔を見せる大谷翔平 photo by WALLY SKALIJ /ロサンゼルス・タイムズ愛犬・デコピンの始球式に笑顔を見せる大谷翔平 photo by WALLY SKALIJ /ロサンゼルス・タイムズこの記事に関連する写真を見る 大谷の平均バットスピードは時速75.4マイル(約121.3キロ)で19位。他の一流打者と比べて突出しているとは言い難い。彼が際立っているのは、パワーとスピードに加えて彼が駆使する細かな身体調整能力と、身体のスムーズな連携だ。6フィート4インチ(約193cm)の長身を併せ持つ大谷の総合力は、毎日見ている仲間でも説明しづらい。

「正直、よくわからないよ」

 大谷がコンスタントにボールを捉えられるのはなぜかと尋ねられたフレディ・フリーマンは答えた。

「彼はそれくらい天才的なんだ」

 ドジャースのアーロン・ベイツ打撃コーチは「野球界最高の身体能力に、長い"てこ"を与えたら、こういう結果が出るってことさ」と言う。

 大谷の体の動きは効率がよく、再現性と適応力にすぐれている。多彩な球種を打ち返せるのもこのためで、ストレート、変化球、チェンジアップのどれに対しても.333以上の打率を残している。MLBの他の一流打者でも同じことはできない。「バットをボールに当てるのは練習によって磨かれる高度な技術だ」とベイツは言う。「でも、目と手を連動させる能力、ボールを芯で捉える対応力は生まれつきだね」

 大谷のアプローチには、この天賦の才能が光る。積極的に打っていくにもかかわらず、ボールゾーンのスイングや空振り率は、リーグ平均レベルにとどまる。今年は三振率も低く、現在は19.5%。このままなら余裕でキャリアローも狙える。開幕1カ月で唯一のウィークポイントと言えた得点圏打率も、ここ数週間は上昇傾向で、5月はここまで.417だ。

 これこそが、たとえ二刀流でなくとも、大谷が現実離れしたユニコーン的存在である理由だ。

 力強いスイングだけでなく、正確なスイングも繰り出せる。速球についていける一方で、変化球に対して待つこともできる。引っ張って特大ホームランを放り込んだと思えば、守備の横をついて逆方向へライナーを放つ。火曜日のジャイアンツ戦でバリー・ボンズのような特大ホームランの直後に放ったタイムリーツーベースが、まさにそれだ。

 そして何よりも、彼はそれをほぼ毎日、同じように行なえる。観衆を魅了する身体能力を、唯一無二の強靭な精神力で最大限に引き出している。

 ロバーツ監督が繰り返す。

「彼は何でもやってしまう。たぐいまれな才能だよ」

※文中の成績は現地時間2024年5月16日時点のもの

  『OHTANI’S JOURNEY 大谷翔平 世界一への全軌跡』
編:Los Angeles Times 訳:児島修
定価:6,930円(税込)
発売日:2024年12月24日
発行:サンマーク出版
判型:A4変形ハードカバー 本文160ページ

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