大谷翔平のナ・リーグMVP満票選出の理由――メジャーリーグMVP投票記者が語る「私の主張」 (2ページ目)
*「マイアミの夜」=48本塁打、49盗塁で迎えた現地9月19日のフロリダ・マーリンズ戦で、大谷は3打席連続本塁打、2盗塁で史上初の快挙を達成。ちなみに打点でもドジャース記録となる1試合10打点を叩き出した。
2. フルタイムのDH選手として
大谷が初めてMVPを獲得したことの意味、意義は?
レノン : DH選手のMVP獲得は今後も珍しい出来事であり続けるだろう。大谷は歴史を塗り替えるという特別なシーズンを過ごすことでMVPとして認められた。ただ、打撃だけではなく、よりオールラウンドな貢献度を評価するという投票者の傾向は、今後も変化はないと思う。今季の大谷の打撃成績はナ・リーグ内では飛び抜けており、それゆえに起こった稀有な結果だった。
ミラー : 大谷はフルタイムのDHとして初のMVPに輝いただけではなく、満票で選ばれた。莫大なプレッシャーを背負って臨んだ新天地での1年目でそれをやり遂げ、その輝かしいキャリアのなかでも、また新たな勲章を手にした。個人的には、DHの選手がこの賞を獲得することはもうしばらくないのではないかと見ている。そんな背景が大谷の偉業をより特別なものにしている。
エプスタイン : 守備につかぬままMVPに選ばれたことは、大谷の打撃面のパフォーマンスがどれだけ超越的だったかを表していると思う。DHではない選手が大谷に近い打撃成績を残していたら、私はその選手に1票を投じていたと思う。しかし、大谷の数字はとにかく突出していた。
来季、彼は投手として復帰し、マウンドにも立つのだという。これほどの選手を同世代で観ることができる私たちは幸運なのだと改めて感じる。
取材に協力していただいた3記者(左からレノン氏、ミラー氏、エプスタイン氏) photo by Sugiura Daisuke
著者プロフィール
杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)
すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう
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