ジャッジが語る大谷翔平の進化 ともに3冠王を目指しワールドシリーズでの再会へ (2ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke

「今の彼は"コンプリートヒッター"だ。2018年にメジャーに来てから向上し続け、パワー面で優れた数字をマークするだけではなく、3割をはるかに超える打率を残すようになった。

 その背景として、打席での球の見極めがよくなっているのが大きいのだろう。ストライクゾーンをコントロールできている。ゾーンの中でボールを捉えていて、甘い球が来たら逃さない。捉えたらとてつもない距離を飛ばしてしまうんだ」

メディアセッションで質問に答えたジャッジ photo by Sugiura Daisukeメディアセッションで質問に答えたジャッジ photo by Sugiura Daisukeこの記事に関連する写真を見る ドジャースの今季の戦いを追いかけてきた人なら、デーブ・ロバーツ監督が序盤戦から「翔平はストライクゾーンをコントロールすることが大事」と繰り返し語ってきたのを知っているはずだ。それができれば、打率アップと本塁打量産の両方が可能になる。

 実際に、今季の大谷がボール球に手を出す割合を示す「チェイス率」は27.3%(現地時間7月20日時点。メジャー平均28.4%)であり、2022年の28.4%、23年29.7%と比べて確実に向上している。打率も3割台を残しており、ジャッジ同様、より隙のない打者に成長したのだろう。

【最高の舞台で直接対決なるか】

 オールスターでは、ジャッジはア・リーグ、大谷はナ・リーグの両軍に分かれて凌ぎを削った。大谷は第2打席で、レッドソックスの右腕タナー・ホウクからオールスター1号を放ち、センターを守っていたジャッジも驚嘆させた。球宴の舞台に限定すれば、2打数無安打に終わったジャッジを上回るインパクトを残したことは間違いない。

 ただ、この両雄がフィーチャーされることは、これで終わりではないかもしれない。前半終了時点で、ドジャースはナ・リーグ西地区の首位を独走中。ヤンキースもワイルドカード圏内には入っており、このままいけば"10月の再会"もあり得る。そう、ワールドシリーズでの対決も不可能ではないのだ。

 もちろんこの先、両チームがどうなっていくかはわからない。ナ・リーグではフィリーズが圧倒的な強さを見せており、ドジャースは本命視されないだろう。好スタートを切ったヤンキースも、シーズンが進むにつれて綻びが見られるようになった。ベースボールでは何事も保証されず、未来は未知数。そのことは、大谷と自身の今後について聞かれたジャッジの返答が示している。

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