WBCで侍ジャパン入りのヌートバー「誰かの邪魔をしたり、失礼なことはしたくない」。その素顔と数字が表す期待できる理由 (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

【ブレイク候補に挙がる理由】

 カージナルスでの2年目を過ごした昨季はリードオフマンとして起用され、108試合で打率.228、14本塁打、出塁率.340をマーク。一見すると平凡な数字に思えるかもしれないが、メジャーに本格的に慣れてきたオールスター以降は200打数で10本塁打、出塁率.366、OPS.846と好成績を残した。

 中でも後半戦の四球率16.7%は、メジャー全体でもアーロン・ジャッジ(21.8%)、ファン・ソト(20.7%)、新人王投票で2位だったアドリー・ラッチマン(16.7%)に次ぐ4位。この順位からも、メジャー有数の名門球団であるカージナルスで"売り出し中"のヌートバーの実力が伝わってくる。

 米スポーツサイト『ブリーチャーズレポート』は1月9日に発信した記事内で、次のような解説とともに、ヌートバーを「今季にカージナルスでブレイクが期待できる選手候補」に選出していた。

「2022年のヌートバーの出場機会のうち、80%はプラトーン(先発投手の利き腕によって、右打者と左打者を使い分けること)で得たもの。しかし実際には、ヌートバーは左打者にもかかわらず、対右投手(.325)よりも対左投手(.400)のほうが出塁率はよかった。それに加えて強肩でもあるため、今季は右翼のレギュラーとして目立った存在になる要素をすべて持っている」

 実際に選球眼、パワー、外野のすべてのポジションを守ることができる守備力、強肩、そして甘いマスクまで備えた25歳の未来は明るい。今年中にスターダムにのし上がっても不思議はないだろう。そんなヌートバーのプレーを、今季の開幕前に、母国代表の一員として見ることができる日本のファンは幸運なのかもしれない。

 ハイレベルな戦いが予想される今回のWBC でも、ヌートバーは大きな戦力になるはずだ。また、ヌートバーが"ムードメーカー"としても最適の人材であることも見逃せない。

 物怖じしない明るい性格ゆえ、セントルイスではすでに人気者。ブッシュスタジアムでも打席に立つ際には、観客席からニックネームである「ヌート!」という声援が送られるようになった。

 ヌートバー本人も、日本代表入りに際して「チームを盛り上げる存在でいたい」と目標を語っている。単なる"お調子者"なわけではなく、その場の空気を読む聡明さも持ち合わせているのが心強い。

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