ダルビッシュ有「2017年の自分より、いい投手になった」。苦手だったプレーオフで、メッツに続き古巣ドジャースも撃破なるか (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

古巣ドジャース、カーショーとの投げ合いへ

「起きた時、最初は呼吸も浅くて、『ちょっと緊張気味なのかな』と思っていました。食欲がなかったし、小さいうどん1杯とバナナしか食べてこなかったので、スタミナ面を心配しました。ただ試合前になって、自分と妻、2人でやってきたことを見せるだけだと思ったことで落ち着きました」

 自身で研ぎ澄ました適応能力だけでなく、家族の支えも手にしたダルビッシュは、本人の言葉通り"別のレベル"の投球ができているのだろう。

 そんなダルビッシュは、これから最大級の大勝負を迎えようとしている。シーズン101勝のメッツを番狂わせで下した喜びも束の間、11日から始まった地区シリーズで対戦しているのは今季111勝のドジャース。ダルビッシュの古巣でもある名門球団はダントツの優勝候補と目されている。

「ドジャースに投げるのが一番楽しい。どれだけいいチームか、いい球団かを僕は知っているので、相手として一番大きい存在。やっぱり完璧でないといけないので、ドジャース戦を控えるときは登板間、お酒も飲まないですし、それだけ"かけている"ということです」

 シーズン中の登板時に話したそんな言葉通り、ダルビッシュはドジャースが特別な対戦相手であることを隠さない。

 11日のシリーズ第1戦はドジャースが5−3で制し、3戦先勝制のシリーズで早くも優位に立った。苦しくなった第2戦で、パドレスはダルビッシュをマウンドに送り込む。負ければ一気に王手をかけられてしまう一戦での登板は、間違いなく今季で最も重要となる。そんな舞台で、古巣との対戦に照準を合わせてきたベテラン右腕はどんなピッチングを見せてくれるのか。

 ドジャースの第2戦の先発投手は、レジェンド左腕クレイトン・カーショー。チーム力の差を考えればパドレスの苦戦は必至だが、それでも円熟を感じさせる現在のダルビッシュには何かを期待させられる。

 格上チームから、流れを奪えるとすればこの1戦。スリリングな予感とともに、ダルビッシュにとって今季の集大成と呼べるゲームの開始が間近に迫っている。

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