ダルビッシュ有「2017年の自分より、いい投手になった」。苦手だったプレーオフで、メッツに続き古巣ドジャースも撃破なるか (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

2017年WSでは屈辱の負けも

 そう対応できることが、今季のダルビッシュの充実ぶりを物語っている。レギュラーシーズンでも開幕投手を務めた右腕は、いずれも今季チームトップとなる16勝、197奪三振、194回2/3と好成績をマーク。クオリティスタートはリーグ最多の25度で、9月はナ・リーグの月間最優秀投手に選ばれるなど安定感抜群だった。今秋に関しては、その充実ぶりをそのままポストシーズンでも継続した印象がある。

 エースの踏ん張りでもぎ取った第1戦の勝利で勢いをつけたパドレスは、第2戦を落としたものの、第3戦は6-0で快勝。上位シードのメッツを敵地で下す番狂わせを完遂し、ダルビッシュも溜飲を下げたのだった。

「年齢を重ねることは恥ではないんだよ」

 1994年、45歳9カ月でボクシングの世界ヘビー級王者に返り咲いたジョージ・フォアマンはそう述べたが、その言葉は今のダルビッシュにも当てはまるかもしれない。いつの間にか36歳となり、メジャーキャリアも10年目を迎えた右腕に全盛期の球威はないのかもしれない。たとえそうだとしても、若い頃と比べて投手としての力量が落ちているとは限らない。

 メッツとのプレーオフ戦に勝ったあと、集まったメディアに「2017年、ロサンゼルス・ドジャースの一員だった頃と比べて投手としてどう変わったか」と問われたダルビッシュはこう答えている。

「メンタル面だったり、ゲームの準備だったりはまったく別のレベルだと思う。なので、結果はいい投手になったと思います。メンタルだと、メディテーション(瞑想)をよくするようになったこと。何に集中するべきかわかっているのと、(準備面では)データベースとかを使って相手をすごく勉強するようになったところです」

 2017年のワールドシリーズでのダルビッシュは、ヒューストン・アストロズ相手に2敗。特に第7戦は序盤でKOされる屈辱を味わった。その一戦を含め、今秋までポストシーズンでは通算7戦で2勝5敗、防御率5.18。「大舞台は苦手」という印象があるファンも多いかもしれない。

 ただ、経験を重ね、準備の仕方も覚えた今のダルビッシュはひと味違う。加齢とともに進化した姿がわかりやすい形で示されたのが、"四面楚歌"の状況でも成功の術を見出したメッツ戦だった。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る