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大谷翔平の「規定投球回の達成」はジャッジとのMVP争いに影響しない? 現地記者も「それなりの意味はある」と冷静 (3ページ目)

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by Kyodo News

WARの捉え方

 参考までに、現地で用いられる『ファングラフス(fWAR)』と『ベースボール・レファレンス(rWAR)』の今の数字は、ジャッジはfWAR 10.7、rWAR9.9で両リーグ1位。一方、大谷はfWAR 8.8、rWAR9.2で両リーグ2位。

 しかし、「私はWAR支持者だが、総合評価のひとつに過ぎない」(マグワイア記者)や「WARが唯一の指標ではありませんし、それだけで両者を語るべきではない。OPS+(パークファクターで調整してリーグ平均を100に合わせ、違うリーグ、シーズンの選手を比較しやすくする指標)、ERA+(リーグ平均防御率と選手の防御率を比較し、パークファクター調整を加える指標)、FIP(被本塁打、与四死球、奪三振で投手を評価する指標)など、見るべき指標は他にもたくさんある」(シスネロス記者)とそれぞれが熱弁を振るい、「WAR数字の高さ=MVP」という見解の多さに警鐘を鳴らす。

「二刀流でフルシーズンを過ごし、いずれもトップ10に入る成績を残している」というだけでも、大谷は十分MVPに値しそうだが、マグワイア記者は「現時点で、大谷がMVPを取るために(今季の成績や偉業以外の)他に何ができるのかよくわかりません。大谷が投打で高レベルのパフォーマンスを発揮しながら、世論から見てア・リーグMVPの有力候補ではないというのは、理解しがたい話だ」と肩を落としている。

 それほど「ジャッジがMVP」という今の世論はそう簡単に変えられそうにない。マグワイア記者でさえ「私は、ジャッジがMVPを受賞するだろうと予想しています。(ジャッジは)間違いなくそれに値すると思います」と言うほど、全米はジャッジのインパクトに圧倒されている。これで、もしジャッジが三冠王、ア・リーグ本塁打記録の更新のいずれか、あるいは両方を成し遂げれば、大谷の可能性はほぼゼロになるだろう。

 MVP投票はレギュラーシーズン終了とともに締め切られ、発表はワールドシリーズ終了後となる。現地の見解では、MVP獲得は崖っぷちの印象がある大谷がもし、逆転MVPとなれば、歴史に残ることは間違いない。果たして、結果はどうなるか。

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