大谷翔平の「規定投球回の達成」はジャッジとのMVP争いに影響しない? 現地記者も「それなりの意味はある」と冷静

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by Kyodo News

「これが違う年の話であったら、大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)は間違いなく満場一致でMVPを獲得していただろう。大谷とアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)、世代最高の2人が同じ年、同じリーグでこれほどのシーズンを過ごしていることは、(どちらに対しても)信じられないほどアンラッキーだ」

規定投球回の達成が近づく大谷規定投球回の達成が近づく大谷この記事に関連する写真を見る スポーツ専門メディア『ジ・アスレチック』などに執筆していたブレント・マグワイア記者は、今季のア・リーグMVP争いをこのように表した。投打の二刀流でフルシーズンを送る大谷は、ジャッジの信じられないような躍進で、2年連続のMVP受賞が厳しい状況になっている。

 ア・リーグMVP候補の筆頭であるジャッジは現地時間9月27日現在(以下同)、ア・リーグ記録の61本塁打まであと1本に迫る60本塁打を打っているほか、打点(128)、打率(.314)でア・リーグ三冠王の獲得圏内。スラッシュライン(出塁率/長打率/OPS)でも.422/.697/1.117で両リーグの頂点に立つ。勢いもすさまじく、9月の成績だけでも、32安打9本塁打15打点、打率.429、長打率.883、OPS1.437。間違いなく今季のMLB最高の打者だ。

 現地メディアも、「アーロン・ジャッジはアメリカン・リーグMVPを受賞する」(『ジ・アスレチック』9月21日付)や「アーロン・ジャッジ、三冠王の領域に到達し、大谷翔平のMVP受賞を難しくする」(『クラッチ・ポイント』9月20日付)という見出しが躍り、現地ではジャッジが優勢という空気が漂っている。マグワイア記者も現状を次のように述べる。

「ジャッジは文字どおりMLBのスーパースターだ。ロジャー・マリスの年間本塁打記録(61本)に並ぶ勢いがありながら、三冠王の可能性もある。今季のジャッジの打撃はこの100年でも最高。しかも、ジャッジは今季の開幕前に自身の進退をかけて(ヤンキースとの)大型の契約延長を見送っている。そんな魅力的なストーリーとパフォーマンスの集大成がすべて揃っている」

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る