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鈴木誠也は年俸17億円の価値あり。MLBが「右のスラッガー外野手」を欲するわけ (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Jiji Photo

【右の長距離砲が減った背景】

 また、鈴木選手は優れたバッティングセンスだけでなく、外野の守備にも定評があります。強肩を生かしたライトの守備力は球界屈指で、これまで5度もゴールデングラブ賞を受賞。さらには走力もスピードがあり、通算82盗塁をマークしている点も見逃せません。

 まさに鈴木選手は「走・攻・守」の三拍子が揃ったオールラウンドプレーヤーです。アメリカのメディアも「鈴木選手は5ツールプレーヤー」と高く評価していました。5ツールプレーヤーとは「ミート力」「長打力」「走力」「守備力」「送球力」の5つの能力が水準以上に高い選手を指します。

 そのうえ、まだ27歳という若さも魅力的でしょう。今季本塁打王に輝いたブラディミール・ゲレロ・ジュニア(22歳/トロント・ブルージェイズ)やフェルナンド・タティス・ジュニア(22歳/サンディエゴ・パドレス)といった若手スターが台頭してきた一方、今オフのFA市場は30歳前後のベテラン選手が多く占めています。その点も鈴木選手の価値が高くなっている要因ではないでしょうか。

 最近の傾向から見れば、鈴木選手が「右のパワーヒッターである」ことも人気のひとつです。近年メジャーでは右投手のレベルアップが顕著で、変化球の対応に苦しむ右打者が増えました。また、右打者に不利な形状の球場が増加したため、右の長距離砲が減っている背景もあります。右打者が左打者やスイッチヒッターに転向した例もあるほどです。

 昨年、両リーグで33人が長打率5割以上を残しましたが、そのうち右打者は半数以下の16人。かつてメジャーでは右の長距離砲が数多く活躍していただけに、あまりの少なさに驚きも感じます。

 さらに掘り下げると、今季30本塁打以上打ったバッターで100三振未満だったのは、ホセ・ラミレス(クリーブランド・ガーディアンズ)、ノーラン・アレナド(セントルイス・カージナルス)、ホセ・アルトゥーベ(ヒューストン・アストロズ)、マイケル・タッカー(アストロズ)の4人だけ。また、長打率5割以上で100三振未満は、タッカー、ラミレス、フアン・ソト(ワシントン・ナショナルズ)の3人だけでした。

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