イチローの旅は続くのか。メジャーの超大物たちが語った衝撃デビュー (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Getty Images

 イチローはこの年、オールスターにも出場を果たした。ファンからの得票数は両リーグ1位という快挙だった。オールスターではメジャー屈指の左腕、マイク・ハンプトン(当時ロッキーズ/投手)とも対戦した。

「私は4、5球かけて三振を取るより、ゴロを打たせて1球で打ち取るほうがいいという考えだ。肩も長持ちするし、走者がいればダブルプレーも狙えるから。ただし、イチローが打者のときは、ゴロが真っすぐ野手に飛ぶことを願うばかりだよ。でなければセーフだからね。イチローはスピードで相手のディフェンスに問題を引き起こす。味方にいれば、最高の選手だな」

 デビッド・エクスタイン(当時エンゼルス/内野手)は、2006年のワールドシリーズでMVPを獲得するなどメジャーを代表する遊撃手だが、この年、2001年は初めてメジャー昇格を果たした期待の新人選手だった。

「彼のスピードにディフェンスが変えられてしまう。ボールがバットに当たった瞬間、一塁に向かって走っているからね。僕にとって、足が速くて、コツコツと当ててくるタイプの打者は守っていて興奮するんだ。ギリギリのプレーになることはわかっているので、定位置より浅めに守り、打った瞬間にチャージをかけて突進するんだよ。ただイチローは例外で、正面に打ってくれと願っているさ(笑)。本来、左打者の場合はセカンドベース寄りに守るんだけど、イチローのときは定位置だったり、サードベース寄りにシフトすることもある。彼の打球が三遊間に飛んだ場合、セカンドベース寄りにいるとアウトにするのが難しい。さらに彼は、ハードな打球も打てるので、ただ浅く守ればいいわけではない。しかも出塁されると、これがまた厄介なんだ(笑)」

 今、メジャーでプレーしている選手に聞いても同じような答えが返ってくるのではないだろうか。年を重ねたとはいえ、今もプレースタイルが変わらないイチローを見ていると、そんなことを思ってしまう。そして、ここに並んだ名前を見て「懐かしさ」を感じるのは、すでに彼らが現役を終えているからだろう。だからこそ、いまだ現役でプレーしているイチローのすごさがより際立って見える。

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