イチローの旅は続くのか。メジャーの超大物たちが語った衝撃デビュー (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Getty Images

 ティム・ハドソン(当時アスレチックス/投手)は、イチローがメジャーの公式戦で初めて対戦した投手で、イチローが渡米する前年の2000年に20勝をマークしていた。

「ゴロをよく打つということは、僕のピッチングスタイルに合うんだけど、彼はスピード感にあふれたプレーが持ち味だからね。内野ゴロを打たせたからといって、送球が彼より先にファーストへ届くとは限らないからね。また、彼のバッティングを見ていると、本当にうまいなぁと思うよ。ボールが来るまで手はちゃんとうしろに残っている。だからバランスを崩されても空振りしないし、最低でもファウルで逃げることができる。メジャーではコツンと当てるようなスタイルは成功しないんだけど、イチローはコツンと当てるだけでなくハードな打球も打てる。彼はあのスタイルをワンランク上に押し上げた。感服するよ」

 ジェイソン・ジアンビ(当時アスレチックス/内野手)は、この前年にア・リーグMVPを獲得するなど、メジャーを代表するスラッガーであった。

「93年にハワイのウインターリーグで一緒にプレーしたことはよく覚えているよ。彼が首位打者で、僕が2位だったかな。イチローのバッティングは難しいよね。常に打席で動いているから、目と手がよほど合わないと成功しないスタイルだよね。ボールも動いている、彼も動いている。それであれだけボールをバットに当てられるんだから(笑)」

 ラモン・ヘルナンデス(当時アスレチックス/捕手)は、マスク越しに見たイチローの衝撃について、こう話してくれた。

「イチローを見れば、誰だって外角を攻めようと考えるよね。外角をホームランにするパワーがあるようには見えないんだから。だから外角で攻めて、ゴロを打たしていたんだけど......。緩めのボールを交ぜたり、いろんなことをやったけれど、彼はヒットにしてしまう。打つときに体が前に飛び出すんだけど、手はうしろに残っていて、ボールを自在に操っている。そしてミートしたら飛んでいくように走り出す。今、メジャーでそういうことができるのは、イチローぐらいじゃないかな」

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る