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単打28本なのにホームラン37本。
ヘンな強打者が初タイトルを狙う (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

 しかし、メジャーの舞台に立ったギャロは思うように結果が出せず、まさかの苦しい日々が続きます。メジャーデビューした2015年は6本塁打で、2016年も出番が限定されてわずか1本塁打。粗いバッティングで三振の山を築き、自慢のパワーはすっかり鳴りを潜めてしまいました。

 ところが今シーズン、ギャロに思わぬ転機が訪れます。ベテランのエイドリアン・ベルトレが故障で欠場することになり、開幕からスタメンで起用されるチャンスが舞い込みました。すると、ついにギャロはその素質を開花させます。8月にはホームラン11本を放ち、現在、37本塁打でリーグ4位。打球を飛ばす能力はピカイチで、マイアミ・マーリンズのジャンカルロ・スタントンに並ぶほどと評されています。

 また、ギャロのバッティングで注目すべき特徴は、37本ものホームランを放っている一方で、シングルヒットは今季わずか28本しか打っていないという点でしょう。

 歴史を振り返ると、1998年~1999年のマーク・マグワイア(1998年=61単打・70本塁打、1999年=58単打・65本塁打/当時セントルイス・カージナルス)や、2001年のバリー・ボンズ(49単打・73本塁打/当時サンフランシスコ・ジャイアンツ)など、シングルヒットより本塁打のほうが多いケースはありました。ただ、ギャロのようにシングルヒットを27本しか打っていないのに本塁打王争いをしている例は非常に珍しいです。この稀有な左打ちのスラッガーから今後も目が離せません。

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