まるでカーショウ。いきなり8勝した
無名のロッキーズ22歳は何者か
2017年のニューカマー@ナ・リーグ編
次々と若手が台頭してくるのがメジャーリーグの魅力ですが、今シーズンもナ・リーグから無名の選手がいきなり表舞台に現れました。そのニューカマーとは、コロラド・ロッキーズに所属するアントニオ・センザテラ(22歳)という先発ピッチャーです。
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開幕前は誰もアントニオ・センザテラに注目していなかった センザテラはベネズエラ出身の右投げ投手で、2011年7月に当時16歳でロッキーズに入団しました。そして4年後の2015年にはロッキーズ傘下シングルAのモデストで9勝9敗、リーグ1位の防御率2.51という好成績をマーク。カリフォルニアリーグの最優秀投手にも選出されました。
しかし2016年はダブルAのハートフォードに昇格したものの、右肩を痛めてわずか7試合の先発登板に終わってしまいます。6月15日以降はまったくマウンドに上がることもなく、シーズン後半を棒に振ることになりました。しかも悪いことは重なり、8月24日にはガンを患っていた母親が52歳の若さで他界。公私ともにショックなことが重なり、精神的につらい時期でした。
そんな不運が好転したのは今年の春。ロッキーズのキャンプに参加したところ、バド・ブラック監督の目に止まります。オープン戦での投球を見たブラック監督は、若いセンザテラの潜在能力に感じるものがあったのでしょう。その結果、トリプルAの経験がなく、昨年もダブルAで7試合しか投げていないにもかかわらず、なんと開幕ローテーションに大抜擢されたのです。
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著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)