前田健太も候補?現代のメジャー「精密機械」は誰だ? (5ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by AFLO

 クルーバーの魅力は、三振を奪える一方で、制球力も兼ね備えている点です。昨年5月13日のセントルイス・カージナルス戦では、「火の玉投手」と称されたボブ・フェラーに並ぶ球団記録・18奪三振をマークし、かつ無四球で試合を終えました。「18奪三振以上・無四球」は、メジャーリーグ史上5人目の快挙です。そして、今年4月23日のデトロイト・タイガース戦でも、通算5度目の「1試合10奪三振以上・無四球」で今シーズン初勝利を挙げました。通算5度は、マダックスに並ぶ記録です。

 少ない球数でゲームを支配し、常に無四球を意識している点は、まさに「現代の精密機械」と言えるのではないでしょうか。かつてマダックスが究極の目標として、「1試合を27球で終えること」と公言していたことにも通じるところがあります。

 前田投手はデビューしたばかりですが、抜群のコントロールは開幕早々から十分に通用しています。今回紹介したグレインキーとクルーバーのように、「現代の精密機械」と呼ばれるにふわさしい活躍を今後も期待しています。

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プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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