2015.12.13

元メジャースカウトが語る「前田健太の成功のカギは岩隈流投球術」

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 このオフ、海の向こうメジャーリーグのFA市場は大賑わい。そのおかげで、前田健太の獲得に関心が高いとされていたアリゾナ・ダイヤモンドバックスはザック・グリンキーと6年総額254億円で、ボストン・レッドソックスはデビッド・プライスと7年総額267億円の大型契約を結び、前田争奪戦からは撤退したと伝えられている。

今季、自身2度目の沢村賞を獲得した前田健太

 FA市場が不作で田中将大人気に過熱した2年前と状況は明らかに違っているが、それでもロサンゼルス・ドジャースやニューヨーク・ヤンキース、サンディエゴ・パドレスらを筆頭に、前田に興味を示す球団は多い。

 これまで野茂英雄から直近の田中将大まで、名だたる日本のエースが海を渡ってきたが、期待と結果はしばしば小さくないズレを生んできた。今季の15勝を含め、NPBでの9年間で97勝を挙げ、沢村賞に2度輝いた前田は、はたしてメジャーでも期待通りの結果を残せるのだろうか。

「岩隈(久志)の投球がひとつの参考になるのではないでしょうか」

 そう語ったのは、かつてPL学園、法政大学で監督を務め、その後は近鉄、シアトル・マリナーズのスカウトとして球界を渡り歩いてきた山本泰氏だ。山本氏が口にした「岩隈の投球」の真意を聞くと、「第一にコントロール。日本でもメジャーでも野球の基本です」という答えが返ってきた。

 岩隈はNPBでの11年間で226試合に登板し、通算与四球率()は2.00。メジャーではさらに数字を上げ、今シーズンまでの4年間で1.75。抜群の制球力が安定した活躍を支えていたことがうかがえる。ただ山本氏が強調したのは、単にストライクゾーンに投げ込むコントロールではない。
※与四球率とは、投手が1試合(9イニング)完投したと仮定した場合の平均与四球数で、値が低いほど制球のいい投手と認識されている。