「スピード」vs.「パワー」対決。ア・リーグを制するのはどっちだ? (3ページ目)
あれから30年――。今回のカードの見どころは、まさしく「スピード対パワー」ではないでしょうか。この対照的な野球スタイルが、ア・リーグの頂点を争う決戦の注目ポイントだと思います。
ディビジョンシリーズでのロイヤルズは、予想以上のホームラン数を記録しました。打撃が魅力のブルージェイズと並ぶ計8本をマークし、なかでもキューバ出身のケンドリス・モラレスが3本塁打と大活躍。第5戦でも大事な場面でスリーランを放つなど、ロイヤルズ打線を牽引していました。
ただ、ロイヤルズのウリは、あくまで伝統的な「機動力野球」です。今シーズンはア・リーグ2位の104盗塁をマークしましたが、チームを象徴する「スピード」は決して盗塁だけの話ではありません。そこで注目したいのは、3番センターのロレンゾ・ケインです。
ディビジョンシリーズ第5戦の4回裏、0-2とリードを許した場面でケインが出塁すると、4番のエリック・ホズマーはセンター前ヒットを放ちました。すると、一塁走者のケインは一気にダイヤモンドを駆け巡り、ホームを陥れたのです。この積極的な走塁によって、ゲームの流れはロイヤルズへと傾きました。
そんなケインの走塁を見ていると、まさに30年前の1985年、ロイヤルズでスピードスターとして活躍したウィリー・ウィルソンを思い出します。ポジションはセンターで、背番号も同じ「6」。ウィルソンがロイヤルズ在籍時にマークした通算612盗塁は球団記録です。ディビジョンシリーズ第5戦でのケインの走りは、まさに彼を彷彿とさせるものでした。
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