青木宣親のロイヤルズは、「ミラクル」を起こせるか?
【2014年リーグチャンピオンシップシリーズ展望@ア・リーグ編】
ア・リーグのディビジョンシリーズはともに3試合で幕を下ろし、リーグチャンピオンシップシリーズはボルチモア・オリオールズ対カンザスシティ・ロイヤルズというカードになりました。オリオールズは球団史上9度目、ロイヤルズは6度目のリーグチャンピオンシップシリーズとなります。オリオールズは1960年代後半、ロイヤルズは1970年代後半から1980年代前半にかけて黄金時代を築きましたが、両者がポストシーズンで対戦するのは初めてです。
ディビジョンシリーズを制し、チームメイトと喜び合うロイヤルズの青木宣親 この両者の戦力を見てみると、非常に対照的なチームだと思います。今シーズン、オリオールズはメジャー30球団で最も多い211本塁打を記録し、盗塁数はメジャー最小の44個。対するロイヤルズはメジャーで最も少ない95本塁打で、メジャー最多の153盗塁をマークしています。こんなにも対照的なチームが対決することになり、思わずビックリしました。
ただ、両チームには共通点もあります。まずひとつは、強力なリリーフ投手陣を擁している点です。オリオールズは、クローザーのザック・ブリットン(3勝2敗37セーブ・防御率1.55)だけでなく、優秀な中継ぎ投手を数多く揃えています。
※カッコ内の数字はレギュラーシーズンでの成績
中でも注目は、サイドスローからシンカーやスライダーなどの変化球を繰り出す右腕のダレン・オデイ(5勝2敗4セーブ・防御率1.70)と、2メートルの長身から剛速球を投げ下ろす左腕のアンドリュー・ミラー(5勝5敗1セーブ・防御率2.02)です。ミラーは今年7月にボストン・レッドソックスからトレードで移籍後、想像以上の働きを見せています。ディビジョンシリーズでは2試合に登板し、3イニング3分の1を投げて無安打・無失点。リーグチャンピオンシップシリーズ進出に大きく貢献しました。
一方、ロイヤルズのリリーフ陣は、グレッグ・ホランド(1勝3敗46セーブ・防御率1.44)、ウェイド・デービス(9勝2敗3セーブ・防御率1.00)、ケルビン・ヘレーラ(4勝3敗0セーブ・防御率1.41)という「新ナスティ・ボーイズ」と呼ばれる豪腕トリオがいますが、それに新たな若手が加わりました。ブランドン・フィネガンという21歳の左腕です。
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著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)