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リーグ最強のエンゼルスを破るカギは「青木宣親」にアリ (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 これほど役者の揃ったエンゼルスをロイヤルズが倒すのは、容易なことではないでしょう。ただ、29年ぶりにポストシーズンに進出したロイヤルズの実力も侮れません。彼らの一番の武器は、伝統の機動力野球と、豪華なリリーフ陣です。

 今シーズンのロイヤルズの成績は、メジャーで最も少ないチーム本塁打(95本)とフォアボールの数(380個)でした。ともに最下位の成績を残しながらポストシーズンに進出したのは、メジャー初の出来事です。つまり、ロイヤルズにはそれを充分に補うだけの武器――スピードがあったということです。

 昨年に引き続き、ロイヤルズは2年続けてメジャー最多の盗塁数(153個)をマークしました。とにかく走り回り、相手をかく乱させて得点を奪うのが、ロイヤルズの魅力です。そのスタイルを象徴しているのが、青木宣親選手(打率.285・1本塁打・43打点・17盗塁)の存在でしょう。特にレギュラーシーズン終盤、9月13日に青木選手が本来の1番から2番に起用されるやいなや、予想以上の大活躍を見せました。9月の打率は.379で、オールスター以降の得点圏打率は、なんと脅威の.412。青木選手が得点した試合は40勝13敗で、彼が1試合に2得点すれば9戦全勝という成績なのです。青木選手がエンゼルス戦のカギを握っているのは間違いありません。

 また、ロイヤルズのリリーフ陣もエンゼルスにとって脅威となるでしょう。クローザーのグレッグ・ホランド(1勝3敗46セーブ・防御率1.44)を筆頭に、中継ぎのウェイド・デービス(9勝2敗3セーブ・防御率1.00)、そしてケルビン・ヘレーラ(4勝3敗0セーブ・防御率1.41)と、100マイル級の速球を持つ豪腕ばかりを揃えています。彼らリリーフ陣は今シーズン、ア・リーグで最も少ない32本塁打しか打たれていません。

 1990年にシンシナティ・レッズをワールドチャンピオンに導いた主役は、ランディ・マイヤーズ、ロブ・ディブル、ノーム・チャールトンという3人の速球派リリーフ投手からなる「ナスティ・ボーイズ」の存在でした。そのときの構成と非常に似ているので、ロイヤルズの彼ら3人は、「新ナスティ・ボーイズ」と呼ばれています。ポストシーズンは、レギュラーシーズンと状況がガラッと変わることも多々あります。「機動力野球」と「新ナスティ・ボーイズ」が機能すれば、下馬評で有利なエンゼルスを倒す可能性も十分にあるでしょう。

 一方、もうひとつのディビジョンシリーズは、東地区1位のボルチモア・オリオールズ(96勝66敗)と、中地区1位のデトロイト・タイガース(90勝72敗)が対決することになりました。実はこの両者、過去に一度もプレイオフで対戦したことがないのです。ともに歴史のあるチームなのですが、初の顔合わせとなりました。

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