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お疲れ様でした。僕たちは永遠にD・ジーターを忘れない。

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 ニューヨーク・ヤンキースひと筋20年、いよいよデレク・ジーターのラストゲームが近づいてきました。1976年のFA制度導入によって、スター選手が次々とチームを渡り歩く時代となり、フランチャイズプレイヤー(※)は少なくなりました。もちろん、近年でもチームひと筋のプレイヤーは幾人か存在しています。しかしその中でも、名門ヤンキースのフランチャイズプレイヤーとして現役生活を終えるというのは、他の選手とワケが違います。

※フランチャイズプレイヤー=入団から引退まで同一のチームの第一線で活躍し続けた選手。

全米中のメジャーファンに愛されたヤンキースのデレク・ジーター全米中のメジャーファンに愛されたヤンキースのデレク・ジーター ジーターがプロ入りする以前から2008年まで、長い間ヤンキースの実権を握っていたのは、ワンマンオーナーで有名だったジョージ・スタインブレナーでした。彼は誰よりも強く勝利を求め、負けることの大嫌いな人物だったのです。よって、どんなスター選手であろうとも結果を残さなければ、すぐにチームから出されてしまいました。また、スタインブレナーがオーナーになる以前も、ベーブ・ルース(1914年~1935年)やジョー・ディマジオ(1936年~1951年)ですら、解雇という形でヤンキースを去りました。ヤンキースというチームは伝統的に、スター選手であっても最後まで重宝しない傾向が強いのです。

 ただ、ジーターは違いました。1992年にドラフト1巡目全体6位で入団し、1995年にメジャーデビューを果たすと、20年間一度も干されることなく、ピンストライプのユニフォームを着続けているのです。1990年代はチームの生え抜きが次々と成長し、バーニー・ウィリアムス(1991年~2006年)、ホルヘ・ポサダ(1995年~2011年)、マリアーノ・リベラ(1995年~2013年)がヤンキースひと筋で現役を終えましたが、ジーターほど長い年数をヤンキースの主将としてプレイした選手はいません。

 その長年に渡る活躍の結果、ジーターはいくつもの部門でチーム歴代1位の記録を作ってきました。試合数(2744)、打数(11186)、安打(3461)、二塁打(543)、盗塁(358)......。これらの偉大な記録を破る選手は、今後おそらく出てこないのではないでしょうか。

※成績は現地9月24日現在

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著者プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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