ドジャースとカージナルスが抱える「不安なデータ」とは?
【2014年ディビジョンシリーズ展望@ナ・リーグ編】
現地10月1日にナ・リーグのワイルドカードゲームが行なわれ、西地区2位のサンフランシスコ・ジャイアンツ(88勝74敗)が中地区2位のピッツバーグ・パイレーツ(88勝74敗)に8-0で圧勝し、ディビジョンシリーズ進出を決めました。これにより、ナ・リーグで最多勝利を挙げた東地区1位のワシントン・ナショナルズ(96勝66敗)は、ジャイアンツとディビジョンシリーズで激突することになります。
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※カッコ内の数字はレギュラーシーズン終了時の成績
自身2度目の20勝を挙げたカージナルスのアダム・ウェインライト ポストシーズンは何が起きるか分からないものですが、現地アメリカでの下馬評では、圧倒的にナショナルズ有利と報じられています。その理由として一番に挙げられているのは、メジャー1位のチーム防御率3.03を誇るナショナルズ投手陣のすごさです。
彼らの秀でている数字は、防御率だけではありません。今シーズン、フォアボールを与えた数はメジャー最小の352個(2位はジャイアンツの389個、最多はシカゴ・ホワイトソックスの557個)。さらに、奪三振とフォアボールの比率は、メジャー史上最高値を叩き出しました。1個のフォアボールに対して、奪三振の数は3.66個。「与四球:奪三振=1:2」という比率が平均と言われている近年のメジャーにおいて、この数字は驚異的だと思います。
それらを成し遂げた主役は、豪華な先発投手たちです。スティーブン・ストラスバーグ(14勝11敗・防御率3.14)を筆頭に、ジョーダン・ジマーマン(14勝5敗・防御率2.66)、ダグ・フィスター(16勝6敗・防御率2.41)、ジオ・ゴンザレス(10勝10敗・防御率3.57)、そしてタナー・ローク(15勝10敗・防御率2.85)と、ナショナルズは5人ものふたケタ勝利投手を生み出しました。
その中でもエースのストラスバーグの存在が、ひと際輝いています。首都ワシントンに本拠地を移して初めて地区優勝を果たした2012年、プレイオフの舞台にストラスバーグの姿はありませんでした。その年、15勝(6敗)を挙げてチームに大貢献したものの、トミー・ジョン手術後の制限によって160イニングしか投げられず、9月上旬でシーズンを終えてしまったからです。その結果、ナショナルズはセントルイス・カージナルスと2勝2敗で迎えたディビジョンシリーズ最終戦で、最終回までリードしていたものの大逆転を食らい、リーグチャンピオンシップシリーズ進出を逃しました。そんな苦い思い出があるからこそ、ストラスバーグは万全を期して今シーズンに臨み、自身初となる奪三振王(242個)に輝いたのです。
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プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)