2014.07.31

川﨑宗則が体現するメジャーで生き抜く極意

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Getty Images

 ヤンキースタジアムでサードを守っていた川﨑宗則に、その難しさを訊いてみた。すると彼はこう言った。

「遅い打球は、芝に喰われてとことん遅いし、速い打球はめっちゃくちゃ速い……だから、ショートやセカンドとはまた違う、サードの難しさというのがあるよね」

現在、日本人プレーヤーで唯一、メジャーの内野手としてプレイしている川﨑宗則。

 メジャーに上がって、主にセカンドとしてプレイしてきた川﨑だったが、マイナーから上がってきた選手との兼ね合いで、サードも守らなければならなくなった。「カワサキ、サードはいけるか」と訊かれれば、彼はいつものように「もちろんいける。サードは、オレの一番得意なポジションだ」などと言ってのける。だから本当に試合でサードを守ることになる。

 しかし、川﨑が本格的にサードを守るのは、ホークス時代の2003年以来のことだ。当時、レギュラーだった小久保裕紀がケガで戦線を離れたのを機に、サードを守って3割近い打率を残し、レギュラーの座をつかんだ。その翌年にはショートのレギュラーの座をつかみ、以降はWBCでサードを守ったことはあるものの、すっかりご無沙汰しているポジションだった。今年はスプリングトレーニングからサードを守ることがあったとはいえ、レギュラーシーズンでメジャーのサードを守るのは川﨑にとって初めてのこと。「緊張した」と言いながら「準備はできている」という、いつもの前向きなムネリン節は健在。海を渡って以降はサードどころか、外野やキャッチャーの練習までさせられてきたのだから、それも当然か。川崎はこう言っていた。

「マナぶことはマネぶこと」――。

 どういう意味かと思って確かめてみたら、要するにマネをするところから入ることが、上達の近道だということだった。川﨑はメジャー1年目、マリナーズのチームメイトだった守備の名手、ブランデン・ライアン(現ヤンキース)の守備をじーっと見つめていた。ライアンが練習しているとき、ふと、川﨑にとっては不思議な彼の動きが目についた。