日本も見習うべき「カージナルス流」勝てる組織の作り方

  • 佐藤直子●文 text by Sato Naoko
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihito

 今季、カージナルスはナ・リーグ最高勝率をマークしたが、決して順風満帆なシーズンを送ったわけではなかった。とにかく、ケガ人に泣かされた1年だった。開幕前からエース格のクリス・カーペンター、守護神のジェイソン・モット、遊撃手のラファエル・ファーカルが離脱。開幕後もハイメ・ガルシアとジェイク・ウェストブルックの先発コンビを失い、チームの要であるヤディエル・モリーナ、主砲のマット・ホリデー、一塁手のアラン・クレイグといったチームの中軸を担う選手たちも、一定の期間、故障者リストに名を連ねざるを得なかった。

 普通のチームだったら、レギュラーシーズンを勝ち越すことすら厳しかったかもしれない。だが、カージナルスは今季3チームがプレイオフ進出を果たした混戦の中地区を制した。その原動力となったのが、ベテラン選手の穴を埋めた生え抜き若手選手の活躍だ。

 ご存じの通り、日本とは違い、メジャーでは選手の移籍は日常茶飯事だ。ましてや、フリーエージェントやトレードが活発な昨今、契約まもない若手選手ですら、ドラフトされたチームでメジャーデビューを果たすことは珍しくなっている。今季、カージナルスはメジャー最多となる20人のルーキーを起用した。そして今回、ワールドシリーズに出場登録したメンバー25人のうち、生え抜き選手は17人。

 2009年ドラフト組からはシェルビー・ミラー(投手/1巡目、全体19位)、ジョー・ ケリー(投手/3巡目)、マット・カーペンター(セカンド/13巡目)、トレバー・ローゼンタル(投手/21巡目)、マット・アダムス(一塁手/23巡目)の5人。2011年組からはセス・メイネス(投手/11巡目)とコルテン・ウォン(内野手/1巡目、全体22位)の2人、そして2012年1巡目指名(全体19位)のマイケル・ワカ(投手)という面々を見るだけで、チームの根幹は自給自足で組み立てられているカージナルスの組織としての強みがうかがえる。

 ポストシーズンで起用された先発4投手のうち、3年以上のメジャー経験を持つのは、32歳のアダム・ウェインライトただひとり。ワカ、ケリー、ランス・リンは、それぞれメジャー1年目、2年目、3年目の選手だ。だが、彼らは大舞台でも物怖じすることなく、自分のピッチングを続けた。チームのスポークスマン的存在でもあるウェインライトは、ことあるごとに彼ら若手の男気を称え、メジャーのレベルにすんなり溶け込める逸材に育てあげた首脳陣に敬意を表した。

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