「MVP級の活躍」。上原浩治&田澤純一が絶賛される本当の理由

  • 佐藤直子●文 text by Sato Naoko
  • photo by AP/AFLO

 レッドソックスの快進撃が続いている。正直なところ、シーズン開幕前はダークホース的な存在で、決して地区首位を快走するような立場になるとは思えなかった。オフのFA市場で活発に動き回り、先発ではデンプスター、救援ではパイレーツ守護神だったハンラハン、上原浩治らを獲得。打撃の方でも、ナポリ、ビクトリーノらと契約を結んだ。それでも、なぜ地区優勝候補に思えなかったかといえば、ここ数年に起きた空中分解の大きさが影響していたと言わざるを得ない。

レッドソックスのブルペンを支える上原浩治(左)と田澤純一レッドソックスのブルペンを支える上原浩治(左)と田澤純一

 一昨年は、9月に7勝20敗という、まさかの大失速でプレイオフ進出を逃した。その直後に、大事な時期に主力先発陣がチームの輪を乱すような行為をしていたという内部告発が発生。球団は、2度世界一に輝いたフランコーナ監督との契約更新をしなかった。加えて、エプスタインGMら球団幹部の一部が、契約を破棄してカブスに移籍してしまった。

 新たに出直そうとした昨季が、また悪かった。元ロッテ監督として日本でも有名なバレンタイン氏を新監督に招聘。個性の強さで知られる同氏の起用は両刃の剣だったが、マイナス面ばかりが目立ってしまった。一部選手との確執が表面化し、監督と意見が対立したベテランは、ことごとくトレード放出。残された主力はオルティス、ペドロイア、レスター、バックホルツくらいで、若手中心の構成となったチームは、69勝93敗(ア・リーグ東地区最下位)という成績でシーズンを終えた。バレンタイン氏は、といえば、レギュラーシーズン終了翌日に契約解除されている。

 これほどの騒動続きから、短期でチームを再建するのは難しいのではないか。それが大方の予想だったと思う。だが、元投手コーチだったファレル監督の指揮の下、チームは故障者続出という憂き目に遭いながらも、5月26日以来地区首位の座を明け渡したのは、わずか4日だけ。好調の要因について、フィリーズ全盛期のメンバーでもあるビクトリーノは「飛び抜けたスターがいないからこそ、みんなが自分のできることをしようと懸命にプレイしている。小さな力も集まれば大きなパワーになるんだ」と語る。

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