【MLB】初選出のダルビッシュと、オールスターの意外な関係とは?

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

ダルビッシュ有はオールスターの桧舞台でどんな投球を見せるのかダルビッシュ有はオールスターの桧舞台でどんな投球を見せるのか いよいよ現地時間7月10日、『第83回オールスターゲーム』が幕を開けます。場所はカンザスシティ。1973年以来、実に39年ぶりの開催です。1973年のオールスターゲームは、全米で最も美しい球場と言われたロイヤルズ・スタジアム(現カウフマン・スタジアム)のオープンを記念して行なわれました。実はこの試合、僕が初めて渡米して観戦した『真夏の祭典』でもあったんです。ですのでカンザスシティは、個人的にも非常に思い出深い町なんです。

 カンザスシティは20世紀前半にアメリカ国内で栄えた『ニグロリーグ』の発祥の地と言われています。現在も市内にニグロリーグ博物館があり、1973年のオールスターゲームでは、ふたりのニグロリーグ出身スターが出場して脚光を浴びました。ひとりは、『史上最高の万能プレイヤー』と讃えられたウィリー・メイズ。20年連続、史上最多タイとなる24度目のオールスター選出で、その年にメイズは現役を引退しました。

 そしてもうひとりは、ハンク・アーロン。ご存知、メジャー通算755本塁打を誇る『伝説の巨人』です。オールスターが行なわれる3日前に通算700号を達成し、ベーブ・ルースにあと14本と迫っていたため、全米中が大騒ぎしている時期でした。そんなタイミングだったので、試合前のセレモニーでふたりが紹介されると、ものすごいスタンディングオベーションが起きたのを覚えています。

 アフリカ系アメリカ人選手の数は、その当時と比べるとかなり減少しました。NBAやNFLなどのプロスポーツに流れていったのが、理由のひとつです。現在、メジャー全体でアフリカ系アメリカ人選手の割合は、わずか8%。しかし、今年はニグロリーグ発祥の地で開催されるので、きっとアフリカの血を継ぐスターたちが脚光を浴びることでしょう。デレク・ジーターを筆頭に、カーティス・グランダーソン(ともにニューヨーク・ヤンキース)やプリンス・フィルダー(デトロイト・タイガース)などが、大きなスタンディングオベーションを受けるのではないでしょうか。

 このように、過去の歴史との関係性を探すと、オールスターゲームの楽しみ方が新たに増えると思います。同じように1973年の歴史を顧(かえり)みると、ナ・リーグのある選手から符合する要素が見つかりました。それが、サンフランシスコ・ジャイアンツの4番キャッチャーとして活躍する、バスター・ポージーです。

 まずひとつは、『ジャイアンツの人気者』という点です。1973年、サンフランシスコで絶大な人気を誇ったボビー・ボンズは、監督推薦でオールスターに出場しました。すると、5回にツーランホームランを放ち、さらに7回には俊足を生かして二塁打も記録。その結果、ボビーはオールスターのMVPに選ばれたのです。

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