2012.06.29

【MLB】バレンタイン監督がほれ込んだ「驚異の新人」現る

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

人気者のユーキリスからポジションを奪った新人ウィル・ミドルブルックス【前半戦ブレイクした選手たち・打者編】

 メジャーリーグの魅力のひとつは、毎年、想像もしなかった無名の選手がブレイクし、続々とニュースターが誕生してくるところでしょう。2012年の前半戦もすごいバッターが出てきましたので、ぜひ紹介したいと思います。

ウィル・ミドルブルックス(ボストン・レッドソックス)

 まずは突如、ボストンに現れた新生ウィル・ミドルブルックスです。高校時代のミドルブルックスは、野球では投手兼遊撃手、アメフトではクォーターバック兼パンター、さらにバスケットボールも高い評価を受けるなど、まさに万能アスリートでした。大学進学も視野に入れていたのですが、2007年、ミドルブルックスはボストン・レッドソックスのドラフト5巡目指名でプロ入りします。ただ、この下位評価は、契約金の高騰と、他球団が「他のスポーツに行くのでは」と敬遠したためで、本来なら1巡目指名でもおかしくない逸材なんです。

 その評判通り、ミドルブルックスは順調に成長していきました。プロ入り後はバッターとしてマイナーで経験を積むと、2012年5月2日、開幕4番を務めたケビン・ユーキリスの故障者リスト入りにより、メジャーデビューを果たします。するといきなり、『デビュー4試合で9打点』というメジャータイ記録を樹立。さらに5月6日のボルチモア・オリオールズ戦では同点満塁ホームランを放つなど、衝撃的なデビューを飾ったのです。

 その勢いは止まらず、その後、1900年以降の近代野球でふたり目となる『デビューから5試合連続長打』、そして1986年の新人ウォーリー・ジョイナー(当時カリフォルニア・エンゼルス)以来となる『デビュー41試合で34打点』という偉業も達成。デビュー直後から群を抜いたパワーと、勝負強さを発揮したミドルブルックスは、一躍レッドソックスの新星として注目を集めることになりました。

 また、6月18日から24日までの1週間で打率.625・3本塁打・10打点の好成績を残したミドルブルックスは、『ア・リーグ週間MVP』にも選出。その結果、チームはボストンの人気者で、ワールドチャンピオンの経験者でもあるユーキリスを、なんとシカゴ・ホワイトソックスにトレードに出したのです。これは衝撃的なニュースでした。たしかにボビー・バレンタイン監督との確執があったとはいえ、あの人気者のユーキリス放出を決断させるほど、ミドルブルックスの活躍は際立っていました。開幕から1ヶ月後のデビューですが、今年の新人王最有力候補と言えるでしょう。6月27日現在、打率.318・9本塁打・35打点と絶好調な23歳の三塁手は、今後も要チェックです。