2012.06.11

【MLB】松坂大輔、順調とは言えなかった「最後の90日」

  • 水次祥子●文 text by Mizutsugi Shoko
  • photo by AP/AFLO

1年ぶりのメジャーマウンドとなった松坂大輔は、5回を投げ被安打5、失点4ながら8つの三振を奪った レッドソックス松坂大輔が、右肘側副靭帯再建手術から1年ぶりにメジャーのマウンドに帰ってきた。

「今日の試合は僕の中でも特別」

 メジャー復帰戦となった6月9日(現地時間)のナショナルズ戦を前にそう語った松坂は、マウンドに立つと深く呼吸をし、ゆっくりと投球モーションに入った。ナショナルズの先頭打者、ロジャー・バーナディナに対し92マイル(約148キロ)のストレートでストライクを奪うと、フェンウェイパークのファンから大歓声が上がった。バーナディナを三球三振に仕留めると、1回は2三振を含む3者凡退と順調な立ち上がりを見せた。だが、2回に4番のアダム・ラローシュに一発を浴びると、4回にも球が高めに集まり追加点を奪われた。それでも5回80球を投げ、5安打4失点ながら8つの三振を奪った。ストレートは最速93マイル(約150キロ)を計時。変化球も制球、キレとも十分だった。

「リハビリ(登板中)よりもいい投球ができた。こういう緊張感は久しぶりだった」

 試合後、そう振り返る松坂の顔には充実感があった。

 マイナーでのリハビリ登板を開始してからメジャーのマウンドに上がるまでに1カ月半を要した。手術後、初めて公式戦のマウ ンドに上がったのが、4月23日のマイナー1Aの試合。その日から復帰まで、松坂は投手としての自分を探す"苦闘"の日々を送ってきた。

 投球の感覚を忘れている上に、手術前と同じボールが投げられない。

「何をどう打たれたのか。投げて、ああやっぱりこうなるんだ。こうだからこういうボールが出るんだな」

 1球投げるごとに確認作業を行なうのだが、ほとんどが手探りの状態だった。また、気持ちの持っていき方にも苦労した。試合前の集中力の高め方も忘れてしまっていた。1Aでの初めての登板を終えた松坂は言った。