【MLB】ダルビッシュも苦戦中。滑るボールはここが厄介!

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

前回の登板で制球に苦しんだダルビッシュ有前回の登板で制球に苦しんだダルビッシュ有 現地時間3月13日、ダルビッシュ有のオープン戦2度目の登板となったインディアンズ戦の内容は散々だった。3回で61球を投じ、ストライクは29球、ボールが32球。この数字を見るだけで彼がいかに制球に苦しんでいたかがわかる。

 ダルビッシュの登板を映像で確認したが、ボールが抜け高く浮き上がり、引っ掛けてショートバウンドになるなど、日本時代のダルビッシュからは想像もつかない荒れぶりだった。3月も中盤を迎え、下半身の張りもピークを迎える時期ではあるが、最大の原因はボールが滑ることだろう。ボールをこねたり、左の二の腕に右手の指先をこする仕種があったりと、これだけでも滑るボールに苦労していることはわかったが、投球フォームも右腕が下がって見えた。

 先駆者・野茂英雄からはボールが滑るという話を聞いたことがなかったが、他の日本人投手のほとんどが滑るメジャー公式球に苦心していた。滑り止めを付け、投球フォームを変え、対応を図ってきているが、メジャーで何年プレイしようと日本時代と同じようにはいかない。これが現実だ。

 ボールが滑ると聞くと、一般的にはリリースポイントで滑ってしまうと思われがちだが、じつはボールが滑ると感じるのはリリースよりも前の段階。投手にとっては、これが最も厄介なのだという。

 具体的には「テイクバックからトップを作るまで」である。

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