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【MLB】『ボビーマジック』はレッドソックスを再建できるか?

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

今シーズン、バレンタイン監督はレッドソックスでどんな『ボビーマジック』を見せてくれるのか?今シーズン、バレンタイン監督はレッドソックスでどんな『ボビーマジック』を見せてくれるのか? 日本でも馴染み深いボビー・バレンタイン監督が、今シーズンから名門ボストン・レッドソックスを指揮します。メジャーで15年(1985~1992年/テキサス・レンジャーズ、1996~2002年/ニューヨーク・メッツ)、日本で7年(1995、2004~2009年/千葉ロッテマリーンズ)、バレンタイン監督は常に結果を出してきました。メッツでリーグ優勝を成し遂げ(2000年)、千葉ロッテを10年ぶりのAクラス(1995年)や31年ぶりの日本一(2005年)に導くなど、日米で多くの実績を残しています。

 そのなかでも一番衝撃的だったのが、テキサス・レンジャーズ時代の1986年です。1985年5月に当時メジャー最年少の35歳で監督となったバレンタインは、フルシーズン1年目の1986年、まずはユニフォームの一新から着手しました。当時のレンジャーズは、2年連続最下位という最悪な状況だったので、現役時代の古巣ロサンゼルス・ドジャースにそっくりなデザインに変更し、心機一転を図ったのです。

 そしてもっと周囲を驚かせたのが、『大胆な若手起用』でした。先発投手3人がルーキーで、しかもそのうちひとりはプロで1勝も挙げていない投手を大抜擢。さらに大学球界きっての新人スラッガーを、なんとマイナー経験なしで開幕4番に起用したのです。その結果、プロで1勝も挙げてなかったボビー・ウィットは11勝をマーク。そして4番に大抜擢されたピート・インカビリアは30本塁打と大活躍しました。球団史上2番目の好成績を挙げて全米中に大旋風を巻き起こしたバレンタインは、その年のア・リーグ最優秀監督に選出。これが『ボビーマジック』の始まりです。

 予想もつかない『ボビーマジック』は、メッツ時代も大いに発揮されました。1997年には131通りのラインアップを組んで、延べ313人もの代打を起用し、1998年にはバントやヒットエンドラン、スクイズを多用する戦術に方針転換。そして1999年にはバッターの出塁率を重視すべく通算出塁率4割を誇る『世界の盗塁王』リッキー・ヘンダーソンを獲得し、次から次へとチームを改革していったのです。そして2000年、ワイルドカードでプレイオフに進出したメッツは、当時黄金時代を築いていたアトランタ・ブレーブスを破り、念願のリーグ優勝を達成。ワールドシリーズでは宿敵ニューヨーク・ヤンキースと『サブウェイシリーズ』を実現し、ニューヨーク中のファンを熱狂させたのです。

 昨年、レッドソックスはシーズン終盤に歴史的な大失速でア・リーグ東地区3位に沈み、プレイオフ進出を逃しました。しかし、本拠地『フェンウェイパーク』は今年、開場100周年を迎えます。1912年の開場1年目にいきなりワールドシリーズを制覇しているレッドソックスとしては、今年どうしても結果を残したいでしょう。レッドソックスがバレンタイン監督に求めているものは、大胆な『改革』です。

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著者プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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