【MLB】ダルビッシュ有が初登板で見せた『ふたつの変化』

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

パドレスとの試合でオープン戦初登板を果たしたダルビッシュパドレスとの試合でオープン戦初登板を果たしたダルビッシュ ついにダルビッシュ有がそのベールを脱いだ。現地3月7日、パドレスとのオープン戦で2回36球を投げ、被安打2、奪三振3、無失点。上々のメジャーデビューを果たした。

 ダルビッシュの初登板に全米から名だたる野球コラムニストが集まった。顔ぶれだけみれば、「今日はオールスターゲームか?」と思うほど。それほど注目が高かったということだが、興味を持っていたのはフィールドで戦う監督やコーチ、選手たちも同じ。いわば、品定めの場となった。

 一方で、ダルビッシュにしてもそれは同じ。自分の状態をはじめて確認できる場であり、自分の投げるボールに対して相手がどのような反応を見せてくるのか。初登板のマウンドで確認したかったことであろう。

 だからだろうか、ダルビッシュは立ち上がりからアクセルをいっぱいに踏み込んだ。エンジン全開を証明したのは、1番打者・メイビンへの4球目。ネット裏に陣取るスカウトのスピードガンは、この時期にしてなんと97マイル(約156キロ)を記録。球場にどよめきが起こった。追い込んでから今度は85マイル(約136キロ)の鋭いスライダーがアウトローに決まり「三振」のコールが響き渡ると、今度は「オーッ!」と歓声が上がる。

 続く2番・ハドソンに二塁打を許すと、ここでもう一段階ギアが上がった。ストレートは常時95マイル(約152キロ)を計時し、ツーシームも93マイル(約149キロ)で動きながらコーナーに決まる。二死後、4番・クエンティンのフィニッシュには縦に割れる80マイル(約128キロ)のスライダー。通算121本塁打を放ち、パドレスの野手で一番の高給取りのバットがあっけなく空を切ると、レンジャーズのダグアウトから「Good Job!」の声が鳴り響いた。

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