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甲子園を震撼させた"21世紀の怪物"寺原隼人 158キロを叩き出す直前に見せた剛速球の衝撃 (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Masahiko Abe

 うしろで見守っていた小川茂仁監督(当時)が、あきれたように笑う。そりゃそうだ。ついこの間、150キロラインを超してきたばかりのピッチャーなのだ。

 怖くて死にそうですよ......という意味も込めて、「大丈夫ですよ!」と返す。

 体感で145キロ前後のボールを5球ほど受けたところで、「あれっ」と思った。ボールが見える。横から見た時には「白い線」すら見えなかった快速球が、正面からだと見える。

 そこで思い出したのが、ついさっきの立ち投げだった。胸を早く見せてくれるピッチャーだな......と、ふと思ったのだ。

 これだ!

 体が少し早く開き、胸を早く見せてくれる。だから、ボールも見やすいんだ......。そこからは、もうポンポンと捕球できた。

 回転軸に傾きを感じさせない、今風に言えば「ホップ成分」に満ちた球質。ミットを伏せるように受けると、悲鳴のようなカン高い捕球音がブルペンに響く。その捕球の衝撃と音の響きは、もうこたえられない。

 右打者の外へ、内へ。空気を切り裂くような快速球を30球ほど受け、そこからスライダーとカーブをおよそ10球。変化球については、小川監督も本人も「目下勉強中」とのことだった。

 そして、最後の1球。

「オレが一生忘れないような最高のストレート、お願い!」

 そうリクエストすると、構えたミットの真っ芯に、間違いなくこの日最速の1球を叩きつけてきた。

「ナイス、キャッチャー!」

 いつの間にブルペンの向こう側へ回ったのか、小川監督が寺原のうしろに立っていた。満面の笑みを浮かべ、頭の上で大きな丸をつくってくれた。

「ありがとうございます!」

「流しのブルペンキャッチャー」なんて、変なこと始めちゃったなぁ......。いつもそんなことを考えていたが、「やっていてよかった!」と初めて思えた瞬間だった。あの「ナイスキャッチャー!」がなかったら、この企画も、きっと2、3年でおしまいになっていただろう。

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