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【高校野球】大谷翔平を攻略して勝利も... 盛岡大附を待っていた包囲と怒声、甲子園決定直後の異常事態 (2ページ目)

  • 田口元義●文 text by Genki Taguchi

 26日に迎えた決勝戦。1番バッターの千田が、1回表のまっさらな打席に立つ。

 ボール球を見極められるほど、目がストレートについていけている。確信をもって振り抜いた打球は、気負い過ぎたあまり力が入り内野フライとなったが、手に残った感触が「大谷を打てる」と訴え続けていた。

「ちょっとしくった、わりぃ......。でも、集中したら絶対に大谷、打てっから!」

 嬉々としてベンチに伝える千田の手応えは、関口も異論はなかった。初回のピッチングを見ていると、いつもと違う大谷がいたからだ。

【流れを引き寄せた疑惑の3ラン】

 ストレートがホームベース上でワンバウンドする。変化球もストライクとボールの違いがはっきりするなど、不安定に映った。

「こっちの勝手な想像ですけど、準決勝であんなボールを投げたもんですから『160キロを投げないといけない』と力んでいるように見えました。うちにとっては1週間の準備期間はありがたかったですが、大谷くんからすればちょっと長すぎたのかもしれませんね」

 大谷が立ち上がりに苦心していると判断し、「審判のストライクゾーンが甘い」と判定の傾向も察知した関口が、選手に明確な指示を下す。

「三振はいくらでもしていいから、低めは捨ててベルトから胸元付近のボールだけを狙え」

 2回表、二死一、三塁から8番の千葉俊が、シーズンオフに千田から「それだけは狙え」と伝えられていた大谷のカーブをレフト前に運んで先取点をもぎ取った。勢いと流れを掌握した盛岡大附は、3回にも千田が154キロ、つづく2番の望月直也が152キロと大谷のストレートを捉えてチャンスを広げ、一死一、二塁で4番の二橋大地につなげた。

 胸元をえぐる148キロのストレートを強振した二橋の打球が、レフトに舞う。二塁ランナーの千田は「あいつ、いつもポール際にデカいの打つんだよなぁ......けっこうギリだな」と、目でボールを追いながら走っていた。

 千田が「ファウルか」と落胆しながら三塁塁審を確認すると、腕がぐるぐると回っていた。「マジか!」と心で叫びながらホームへ向かう三本間で、大谷とキャッチャーの佐々木隆貴が両手を広げながら「ファウルじゃないの?」といったジェスチャーを見せていたが、千田は構わずホームインした。

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