【高校野球】謹慎処分が変えた名将の指導論 履正社を頂点に導いた岡田龍生が語る"勝利と育成の本質" (2ページ目)
【別格だった坂本誠志郎】
話ができる子──その最たる例が、坂本誠志郎(阪神)だ。昨季は正捕手としてリーグ優勝に貢献し、今季は侍ジャパンの一員としてWBCにも出場した。
「あんな高校生はいないですよ。坂本みたいな社員がいたら、その会社はほんと楽です。投手交代も坂本が決めていましたし、人を見る力があるので対等に話ができました。配球にも必ず根拠があり、こちらが聞けばきちんと答えてくれる。ウチ(東洋大姫路)の捕手は、まだ黙りますけどね(笑)」
履正社時代の強化を語るうえで欠かせないのが、「通い」というスタイルだ。寮は設けず、一部の下宿生を除いて選手は自宅から通っていた。
岡田監督が「甲子園で優勝した高校で、履正社の前となるといつになりますか。佐賀北あたりまでさかのぼらないといけないのではないでしょうか」と語るほど、近年の強豪校では珍しい形態だった。
「初出場の1997年と、優勝した2019年を比べると、選手ひとりあたり平均で身長は2.4センチ、体重は10.6キロ増えました」と語るように、履正社の選手たちの体は着実にたくましくなっていった。管理栄養士の指導を取り入れたことに加え、「通い」である利点を最大限に生かした成果でもあった。
「とくに野球は、小さい頃から二人三脚で取り組んでいる家庭が多いので、お母さんにも協力してもらおうと考えました。もちろん、それぞれの家庭の状況に応じてですが、少し意識するだけでも違うんです。たとえば、『コーラではなくオレンジジュースにしよう』とかね。ですから、親御さんにとって大きな負担になるものではなかったと思いますし、なかには『お母さんは管理栄養士ですか?』と思うほど意識の高いご家庭もありました」
【トラブルが起きた時の対応策】
一方、東洋大姫路では寮生が8割を占める。もともと下宿生が多かったが、それでは管理に不安があり、学校に要望したところちょうどいい物件が見つかったという。
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