検索

部活動はどこへ向かうのか 外部委託の先で教員たちが手放したくない指導の醍醐味「野球だけを教えたいわけじゃない」 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

「僕が聞いたある市の外部指導員の募集要項では、時給はおよそ1500円。平日の夕方に2時間ほど、週に3、4回に加えて、土日は練習や試合もあるそうです。この条件だと、時間にもお金にも余裕のある、野球好きで経験のある年配の方くらいしか務まらないのではないでしょうか。はたして、この条件に当てはまる"いい指導者"がどれだけいるのか......」

 現状の部活動で、どこまでの指導ができているのかという問題は学校や指導者ごとにあるにせよ、この条件で技術を教え、生活面にも目を配り、時には進路の相談やチーム内のトラブルに対応することまで求められるとすれば、決して簡単なことではない。実際、現場からはこんな声も聞こえてきた。

「外部委託になったとしても、顧問だけは学校から関わり、何か問題が起きれば学校が対応する、という形になるんでしょうか。たとえば、土日にトラブルがあれば、月曜日に教員が生徒から聞き取りをして、保護者に連絡を取り、説明をする......。そうなると何が"外部"なのか、よくわかりません」

 奥村も続ける。

「学校生活も見て、部活動も見られるのが、先生たちの強みです。そこは、ぜひ大切にしてほしい。熱意のある先生がいることで学校全体も引き締まるし、保護者の方も安心だったはず。もし、部活動の指導ができないことを理由に、有能な人材が教員を目指さなくなるとしたら、それは学校にとっても、そして子どもたちにとっても、大きなマイナスだと思います」

【NPOから各地区へ先生を派遣】

 先の見えない不安を抱える教員たちの声に耳を傾けるなかで、奥村はある提案をした。

「先生たちでNPO法人をつくってはどうですか」

 奥村は宝塚ボーイズを率いていた時代に、NPO法人「ベースボールスピリッツ」を設立・運営した経験を持つ。そもそもNPO法人とは、社会貢献を目的に活動する非営利団体のうち、法人格を取得したものを指す。

2 / 4

キーワード

このページのトップに戻る