【大学野球】大学日本代表監督が名指しした次代のエース 青学大・鈴木泰成が語った「勝てる投手への」ワクワク感と使命感 (3ページ目)
「ピッチャーは再現性が大事だと思うんです。いかに修正できるかどうか。大学選手権でも東北福祉大さんに満塁の場面でボール先行からの真っすぐを打たれ、東洋さんにもボールカウント先行から打たれた。本人からすると、わかっていて自分のいいボールを再現できなかった悔しさはあると思います。でも、このように『なんとかならない』のが東都の厳しさ。本人もそれを感じていると思うので、次につなげていくしかないです」
【追い込まれて真価発揮】
続く亜細亜大との初戦ではエースの中西が復帰して好投するも、延長10回の末に0対1で敗戦。負ければリーグ優勝の可能性が消える第2戦で、鈴木が先発した。鈴木は不敵に笑い、こう語る。
「追い込まれた場面になると、自然と気合いが入るんです」
じつは今春のリーグ戦でも、「負けたらV逸」という大事な亜細亜大戦で先発し、完投勝利を収めている。鈴木は秋の亜細亜大戦でも9回を投げきり、3安打完封。息を吹き返した青山学院大は逆転優勝を遂げている。鈴木は「東洋に負けても、亜細亜戦で修正して投げられたのはひとつ自信になりました」と明かす。
来年は中西が抜けるだけでなく、中軸の小田康一郎(DeNAドラフト1位)など野手陣の顔ぶれも大きく入れ替わる。同じく来秋のドラフト1位候補でバッテリーを組む渡部海が残るとはいえ、来春のリーグ7連覇のハードルは高い。さらに、鈴木には大学日本代表のエースとしての期待ものしかかる。
それでも、鈴木が初志を曲げることはない。
「世代ナンバーワンになる。日本を代表するピッチャーになる、という目標は変わっていません。結果的に大学ジャパンのエースになれればベストですけど、まずはチームが優勝することが一番だと考えています」
あるNPBスカウトは、鈴木に熱視線を送りながらこんな感慨を口にしている。
「モノが違うのは間違いありません。でも、彼の持っているものはこんなものじゃないと思うんですよ。来年はもうひと化けした姿が見たいんですよね」
スカウトの願望が実現したその時、鈴木泰成は間違いなく2026年ドラフトの主役になっているはずだ。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
フォトギャラリーを見る
3 / 3













