【ドラフト】大阪桐蔭・中野大虎が明かす大学進学からプロ志望に変わった理由 「正月に神社に行ったら...」 (2ページ目)
6月末、ラプソードを使って各投手の回転数や回転軸、曲がり幅、リリースポイントなどを測定する機会があった。そのデータを見ると、中野のストレートは球速・回転数ともに本来の数値より低く、ヒジの位置もやや下がり気味であることが判明した。それでも中野は、投球練習中に1球ごとにモニターを確認し、数値と自身の感覚を丁寧にすり合わせていた。担当者に次々と質問を投げかけ、修正のヒントを探っていたのだろう。
そこから指導者と共にフォームを見直し、細かな微調整を重ねた結果、夏に見た時には明らかにボールが変わっていた。
確信を得たのは、前編でも触れた夏の大阪大会準決勝の履正社戦だった。ストレートの勢いと質は明らかに増し、スライダーは曲がり幅が小さく鋭くなり、フォークもコースを意識して3種類を投げ分けるまでに成長していた。本人ものちに「前の変化球とは別れました」と語るほどで、この時期の劇的な変化がなければ、その後の日本代表での活躍や評価も、まったく違ったものになっていたかもしれない。
今も放課後は、ブルペンで投げ、ランメニューをこなし、ウエイトトレーニングに励む。
「自分のレベルを上げることに集中できますし、自由時間はむちゃくちゃ増えました」
その時間をどう使うかが大事になるが、生粋の野球小僧に心配は無用だ。
「今は体の仕組みに興味が湧いていて、そういうジャンルの本を読んだり、そっち系にハマっています。歩き方や走り方で体の特徴がわかったり、プレートの立ち方で投げ方が予想できたり。だからグラウンドに来ても、ほかの選手の動きばっかり見ていて、変態扱いされてます(笑)」
投げることや打つことの"前段階"に興味が向き、それが投球を考えるうえでのヒントにもなっている。
「もうひとつ興味があるのが足の裏なんです。足の裏って、指か、かかとのどちらかにしか力が入らない。同時には入らないんですよ。だから足の裏をうまく使おうとするなら、まず足の裏全体をしっかり地面につけてから、指に力を入れないとダメで、この順番で力の伝わり方もリリース時のパワーも大きさも変わってくるんです。だから足の裏全体を使いこなせるようになったら『ボールも変わっていく』と、今やっているところです」
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