【夏の甲子園2025】ノーサイン野球は自由じゃない! 弘前学院聖愛が実践する「思考力を育てる」高校野球の新しい形 (2ページ目)
2001年の創部から聖愛を率い、就任以来ずっと一から十まで自分で指示を出してきた原田監督にしてみれば、思いっきり頭を殴られたような感覚だった
「鴨頭さんは野球をやっている人を否定しているわけではないんです。これからは今よりも情報が多くなってくる時代ですよね。それに惑わされないで自分で状況判断できる人間が必要だよと。自分に対して言われているような衝撃がありましたし、素直にそうだよなと思いましたね。野球は、スポーツのなかで一番状況判断が多いスポーツじゃないですか。状況は無限だと思うんですよ。
そのなかで、プレイボールと同時に一球一球、監督のサインを見るのはどうなのかなと。以前の自分は、『打て』や『待て』のサインも出しているんですよ。『カーブ狙え』とか『ストレート狙え』とかも。もちろん、キャッチャーのサインも一球一球出していました。それだと将棋にしか見えないですよね。試合をしているのは監督で、選手たちはただの駒でしかない」
子どもたちの成長を邪魔しているのは自分だ。そう思った原田監督は、驚くべき決断をする。なんと、試合中にサインを出すのをやめたのだ。
【ノーサイン=自由ではない】
「鴨頭さんからは『今後はAIが主流になって、AIが全部やるようになる。情報過多の時代になって、たくさんの情報があるなかで、自分でベストの選択をしないといけない世の中に絶対なっていく』という理由も説明されたので。それでノーサイン野球をやってみようと」
無死で走者が出た。以前はバントか盗塁か監督がサインを出していたが、選手に考えさせるようにした。盗塁ができそうなら盗塁をするし、盗塁が難しそうなら進める方法を考える。「どうしたらいいですか?」という指示待ちから、「こういう理由でこうします」と自分で考えて動く野球に変えたのだ。
当然のことながら、「何をすべきか」は状況によって変わる。決めるためには、「なぜ、その選択をするのか」という明確な理由がなければいけない。状況を考え、自信と根拠を持って、自分で決断することが求められる。攻撃でも守備でも1球1球考えなければいけないため、選手たちは集中するし、気づき力も高まる。何より事前の準備も怠らなくなる。
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